OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

妄想代理人

 この手の作品は自分の解釈をどれだけぶつけられるかだと思うのよね。
 で、この作品がたとえばエヴァみたいに語られてないのって、なんだか、すでに答えがすべて作品中に提示されているような気分になるからだろうな。
 つまり、冒頭で示される携帯電話により言い訳をする人々、すなわち、責任転嫁をする思いが怪物を呼ぶのである。
 なぜ鷺月子が幼少のころ責任逃れをしたいと思ったことが少年バットを具現化するに至ったのかは作品中では示されていない。それこそ、超宇宙的なナニカと結合でもしたのかもしれない。ただ、狂った老人や若刑事はそれに当てられてしまったんじゃないだろうか。
 そして、責任逃れが具現化した存在である少年バットは、もうひとつの具現化的存在であるマロミとともに世界中を埋め尽くしていくわけなのだけれど、最終的に少年バットとマロミは対立するんだよね。これは、少年バットという幼少期のエゴにまみれた存在と、マロミという少なくとも他者を介在した大人になった(けどなりきれていない)月子をあらわす存在の対立を描いたのかなと思った。
 これらを否定する役割を果たすのがベテラン刑事猪狩の妻であり、それに影響されて自分に優しい世界から猪狩は脱出し、最終的に月子もその強さを受け入れていく。一種の成長物語。
 後半ぐだぐだな感じはするけど、かなりレベル高い位置にあると思うんだよね。ただ、いわゆるキャラクターが物語を進めるためのコマ的な役割しか果たしていないため、アニメを主に観る層との相性はよくなさそうだけど。

妄想代理人(1) [DVD]

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