OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

実録 連合赤軍  あさま山荘への道程

 若松孝二監督の映画。若松監督の映画は「処女ゲバゲバ」を見たっきりなのだけれども、あのなんともいえない閉塞感だけは胸に焼き付いている。
 連合赤軍の事件、というと、自分には憲法判例で出てきたり、西岸良平の漫画にちょっとだけ出てきたりしたのを見たくらいで、目的はともかく革命を目指していたんだろうなという印象しかなかった。
 この作品のソースがどこまで正しいのかはわからないけど、僕みたいに何も知らない人間にとっては従来のイメージを大幅に更新し、胸の奥深くまで刻み込む力があったと思う。12人がリンチで殺されたと聞いても、おそらくその12人も裏切ったりしたのだろうなという印象があっただけに、こんなくだらない理由で殺されたのかと、やるせなくなったりした。
 森や永田といった幹部的存在がその「小さな権力」を持ち出して、結果内部から崩れていったこと、それに対し、おかしいと思いつつも誰も止められず、結果小さな権力者が力をつけるにいたったこと。こころに大きく暗い色の疑問符を残している。
 自分には、彼らの思想がわからない。彼らが具体的にどんな風に日本を変えたかったのかとか、その革命によって変えられた日本が果たして弱者にとって住みよい国だったのかとか、そういったところに疑問が残る。なんてことはない。若い人の思想はまだ固まっていない上に、常に疑問が隣り合わせだ。そういった思想が優れた芸術とかを生み出すこともある。だけど、その思想を未熟さが「自虐」「自己正当化」と結びつきはじめたことが内部からの崩壊の序曲となったのではないかと思う。そうだ、「自虐」はよくない。
 遠山がリンチされ、顔を腫らされた場面。元の坂井真紀が美しいだけに想像以上に醜くなった顔を長く写す場面は目を背けたいのに背けられなかった。あまりにも生産過ぎるけど、見ずに入られないようなフィルムから発せられるパワーみたいなものが確かにあると思う。