OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

精神(★★★★☆)

 精神の病・・・といってあなたは何を思い浮かべるだろうか?
 僕の思い浮かべたのは、街角の奇人さんだった。いわゆる、奇声をあげたりするタイプ。
 それまで僕は、精神病というものをきちんととらえてはいなかったのかもしれない。正常に生活を営んでいる人にあるタガを外してしまった人間、それが精神病患者だと思っていた。
 だが、ここに出てくる人たちは一見普通の人と変わらない。話し方もしっかりしている人もいる。僕や、正常な人(あるいは自称”正常な人”)と何が違うのか不思議に思ったくらいだ。むしろ精神病患者というのは、われわれのもつタガを必要以上に強く結びすぎてしまった人なのかもしれない。
 それでもインタビューを聞いていると、少しはその「異常」たるゆえんがわかってくる。でもそれは決して理解不可能なものではなく、共感したり、いや、さすがにそれはおかしいなと思ったりした。でもそれは普段会話していてもよくあることだ。
 だが、このドキュメンタリーは単なる偏見を取り除くだけで終わらない。この映画のラストにおかれたのは、人の迷惑を顧みることのできない精神病患者の姿だ。
 結局このドキュメンタリーで描かれるのは、精神病患者の生活にすぎない。それは、病のために就労に難をきたしたりはするけれど、われわれと同じように悩み、おしゃべりを楽しむ人間の姿だ。それ以上でもそれ以下でもない。

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