汚れた血('86/レオス・カラックス)
「女の子に気に入られたくて素朴になろうとしたけれど・・・素朴になるのは難しい・・・」
1986年のフランス映画。
正直にいえば、完全に理解できたとはいえない。
失敗作じゃないかなー、とさえ思っている。
ドニ・ラヴァン演じるアレックスは爬虫類系の顔立ちで、寡黙。
それゆえに、父親の死をきっかけに山奥での恋人との安穏な暮らしを捨て、裏社会へ飛び込む際に違和感を感じた。
父親の死を悲しむことも、恋人との別離を惜しむ姿も、なぜか似合わない。感情なんてないような気がしたからだ。
それは映画が進んでもぬぐえない違和感だった。
アレックスの腕を買ってワクチンを盗みだす手伝いを依頼した一味。その情婦アンナに惹かれ、手品で彼女を喜ばせるアレックス。
人によってはこのあたりで彼の爬虫類顔にも愛着がわいてくるのかもしれない。
しかし、ここでこの映画は通常のラブストーリーとはまったく違う展開を見せる。どれだけアレックスが愛情表現をしても、アンナは中年メタボ親父にメロメロのままなのだ!
そして、フェイドアウトした元恋人が登場したかと思うと、ストーリーは明後日の方向に進んで、いつ撃たれたかもわからずにアレックスは死んでしまう。
この時に、少しだけアレックスに思い入れを持った気がした。
もしかするとこの体温の低い感情表現に、ある種の人々は惹かれるのかもしれない。
すこし時間をおいて観たら、ラストのアンナの疾走がまた違って見えてくるのかも。
にしてもこれ撮った時のレオン・カラックスは僕と同い年とは・・・。
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