アウトレイジ(★★★☆☆)
北野武監督の最新映画。
全体的に、いつもの北野監督にありがちなトリッキーな演出は出てこないし、北野映画の特色だった即興的な演技もほとんど出てこない。
ストーリーは今までで一番に比べるとしっかりしているもののこのストーリーを通して世間に何かを訴えかけるというものでもない。
じゃあこの映画の楽しかった部分は何かと言うと、すごく乱暴な言い方をすると「役者萌え」であると思う。
ここから先は結構なネタバレになってしまう。
「アウトレイジ」には、今まで北野映画の常連だった俳優があまり出てこない。ヤクザ映画にも関わらず寺島進や大杉漣さえ出てこない!
北野監督も言っているが、今回はかなり商業映画を意識しているそうだ。
もし僕が役者だったら、スクリーンの中や舞台の上で、一度は死んでみたいと思うに違いない。
役者さんのうらやましいところは、役を通して普段の自分とは全然違う人生を送ることができるところだ。
僕たちは通常ひとりの人生しか送ることができないから。
そして、その人生の締めくくりである「死」を演じきれたなら、それは役者冥利といったものだろう。
この映画の主要登場人物はほとんど死ぬ。
「死」が最大の見せ場だ。
その「死」のみせ方を通して、「ああ、この役者さんは北野映画でこういう人生を生きたのかー」と楽しむのが、多分良い。
個人的にはやはり椎名拮平のカッコよさと最期のショッキングな締めくくりと、石橋蓮司の小人物さ加減が面白かった。
あとはやはり加瀬亮でしょうね。
三浦友和は最近悪役でしか観てない気がする。
たけしは何度目かってくらい死んでるんだけど、今回は地味だった印象。
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