OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

Angie's Life/アンジー

Angie’s Life
Release 1999.5.2

 1980年代から90年代初めにかけて活躍したロックバンド・アンジーのベストアルバム。
 一般的には「るろうに剣心」にボーカルの水戸華之介を模したキャラ*1が出ていることで有名かな?
 当時はポコチンロックとかバカロックとか言われていたそうで、確かに「蠅の王様」あたりはコミカルに見えるのかな?今から見るとバンドブーム以降コミカルなロックも根づいてしまった上に、一見コミカルに見える「天井裏から愛をこめて」「すべての若き糞溜野郎ども」などもその根底には弱者への優しいまなざしが見え、相当シリアスな感のするわけなのですが。
 全体的に歌詞は前向きで、水戸氏のしゃがれたボーカルで歌われるとかなり生命力を感じるわけです。ヒットチャートをにぎわせる安っぽい応援歌と一線を期しているのは水戸氏の書く歌詞があくまでもつらい現実をしっかりみすえて、それでも「絶望だなんて言うほど長くは生きちゃいないさ」(「掃き溜めの街で歌いはじめたチンピラ達の新しいメルヘン」)とばかりに前を向いているからです。
 ただし、ヒットチャートに群がる客たちはあくまでもキレイなものしか見たくないので、それがアンジーが広く受け入れられなかった理由なのかもしれません。
 基本的に音楽としてはパンクを基調としたものが多いのですが、マーチの「ナイタラダメヨ」、フォークの「マグマの人よ」、ケルトの「君が忘れた大きなもの」など、要所要所に懐の広さも見せています。あとは「天井裏から愛をこめて」のビート感、「素晴らしい僕ら」のグッド・メロディーも捨てがたい。
 特筆すべきは「銀の腕時計」。片思いの唄。誰しもの心の中に持つ情景を描いた優しい唄で、間違いなく後世に残すべき名曲だと思います。

★★★★★★★★☆☆

*1:悠久山安慈