インシテミル 7日間のデス・ゲーム(★☆☆☆☆)
少しイマイチ。
自分は原作を書いた米澤穂信という作家のファンで、多分この作家で初めての映像化だったし、それもこの作家の集大成とも言うべき作品だった(伊坂幸太郎でいえば『ゴールデン・スランバー』のような)ので、期待はしていたのだけれど・・・。
観る前から不安はあった。前述の伊坂の作品が傑作になってこちらが凡作止まりの理由は一点。
原作が映像化に向いているかいないか、ということ
基本的に米澤穂信の作品の特色というのは、
?事件とも言えないほどの小さな事件が起こる(たとえば、生徒のポシェットがなくなる)
?それをワトスン役がみつける(古典部シリーズの千反田えるなど)
?そして探偵役が解決する(古典部シリーズの折木、小市民シリーズの小鳩など)。
こういったものの積み重ねで、それに青春のほろ苦さとか古典ミステリーのうんちくとかを塗したものになっている。
だから忠実に映像化すると長々と推理を披露する場面が中心になるため、テレビドラマならともかく、映画には向いていない。
それゆえ、そういったミステリーの要素を取っ払い、主人公に藤原竜也を置いたようにバトロワみたいなデスゲームものにしたのは、ある意味正しいと思う。
その分、観た後何も残らないような作品になってしまったけれど。
あ、でも石原さとみのキャラは今まで見たことのないような感じで印象に残ったな。
ただ、一点だけ許せないところがある。
このゲームでは各々に凶器が配られるところがあって、その凶器には一緒にカードが付いている。
それには凶器の名前と、その凶器が使われたミステリー作品名が記されている(例えば、火かき棒なら「まだらの紐」といった具合に)。
それはいいんだけど、すべての凶器でそれは何のミステリー作品で使われたのかとか、もっといえば結局どの凶器を誰が持っていたのかとかが、最後まで示されていないのが気になった。
例えば、クイズ番組を見ていて、時間の都合かどうかは知らないけれどすべての答え合わせがされなかったらすごくもやっとした気分になるでしょう。
もしすべての答え合わせをする時間がなかったのならミステリーに関する描写等は徹底して削るべきだったなあ、と思いました。
あと綾瀬はるかウォッチャーとしても不服。
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