OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

フリーズ・ミー('00/石井隆)

2011/3/8鑑賞
DVD



※ネタバレ含む


 傑作!


 本来なら破綻となる設定も強引な説得力で見せてしまう石井隆演出にしびれた。

 主人公のチヒロが冷蔵庫の中に閉じ込めてあるのは「過去」。
 それを垣間見てしまったから野山は最後殺されてしまった。
「過去」から目をそむけても、最後にはそこに引き込まれてしまう皮肉な運命に感嘆した。


 
 竹中直人に犯される場面での固定アングルから冷蔵庫へのズームにはしてやられた。
 また、竹中直人がゲームに向ってかけている言葉がそのままチヒロの内面の叫びとなっていること。



 同時にリアルな描写が素晴らしい。
 人をはじめて殺してしまった人間のリアクションってあんなんじゃないかなとおもうし、人の頭を鈍器でなぐったらああいう痙攣を起こしそうな気がする。

 特筆すべきは北村一輝さんの演技。ある意味これはヒース・レジャーのジョーカーの役作りにも近いですよ。悪と言うものを純粋に煮つめています。
 最近優しい役が多いだけに非常に怖かったです。



 おそらく世評が低いのは、他の石井隆作品があまりにも素晴らしすぎるためだと思います。あと、ちょっと過剰さがギャグにも思えてくるような箇所もあるんですよね。一連の「名美」シリーズに比べると、そういったカルマを描いていた様式美みたいなものは後退しているわけですし。

 むしろ石井隆作品にここから入門するのもいいかもしれません。

フリーズ・ミー [DVD]

フリーズ・ミー [DVD]