OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

悪魔を見た(★★★★★)

2011/3/20鑑賞

@シネマパレット



 一言でいえば、過剰な復讐譚。

 復讐というモチーフは古今東西様々な作品で描かれている。
 そして、復讐譚がなぜそんなにも我々を惹きつけるのかというと、それは復讐という行為が、取り返しのつかない過去を克服するという構造を持っているからだ。
 私たちは普段何気なく生活しているけれども、後悔している過去のひとつやふたつはある。それを取り戻すことは困難だ。だからこそ、スクリーンの向こうの復讐の鬼に感情移入するのだ。

 けれども、こういった構造を持つのが復讐譚である以上、過去を取り戻す困難さも描かれなくてはならない。
 主人公の行う過剰な復讐行為と、それに伴う代償がまさにそれだ。
 こういった過剰な役柄を、国民的イケメンスターであるはずのイ・ビョンホンが演じるというところに凄味を感じる(日本でいえばキムタクが津山三十人殺しを演じるようなもので、どうあがいたってヌルいものにしかならないであろうことが想像つく)。

 対する快楽殺人鬼を演じるチェ・ミンシクは同じく韓国発の復讐映画として名高い『オールド・ボーイ』では復讐する側を演じていて、それが印象に残っていたのもあって、最初はちょっと復讐の対象としては愛嬌がありすぎるかなと思ったけれど(さまぁ〜ずの三村にソックリなんだ・・・)、話が進むにつれて憎々しさや恐怖が発生してきて、それでも1パーセントくらい可愛そうだと思う気持ちが生まれてきたのが素晴らしかった。

 そして結末。前述した復讐の意義を再確認するような展開に驚愕。

 バイオレンス描写、スプラッター描写、そして精神的にキツい描写も多いので万人向けとは言えないけれど、間違いなく今年の問題作3本の指には入ると思いすよ。