OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

映画怪物くん(★☆☆☆☆)

2011/12/2鑑賞

@サザンプレックス



ちなみにこの文章はライムスター宇多丸のザ・シネマハスラーに送ったメールをコピペしています。



・良かったところ
 怪物界での怪物のデザインがギレルモ・デル・トロの映画に出てくるみたいだったところ。
 この映画で唯一奥行きを感じたシーンでもあります。

・だめなところ
 ?食育の観点からよくない
  冒頭で怪物くんが野菜を残したことと怪物大王の似顔絵に鼻毛を書いたことで責められるシークエンスが出てきて、観客としてはここで「ラストでは立派にその点を反省して立派な大王になる怪物くんの姿」を期待させるわけです。
  けれども、ラストでも怪物くんは野菜は嫌いだと言い張ります。
  他の映画ならいざ知らず、『怪物くん』は子供の観客もよく観る映画です。
  帰りの食卓でできかけ人間である子供が「怪物くんだって残してたよ」と言ってしまったら親として言い返しようが無いじゃないですか。
  特にこの映画は全体的に食がメインに据えられている話であるはずなのに、「伝説のカレー」があっさり出てくるところにもゲンナリしました(ここは『少女革命ウテナ』の神回「カレーなるハイトリップ」を見習ってほしいものです)。せめてラストでは食べ物の好き嫌いは克服して、「でもパパの似顔絵に鼻毛は書くかんな」といわせた方が教育上よろしかったのでは?

 ?アクションのセンスがない
  また、この手の物語のカタルシスはアクションシーンに集約されていると言っても過言ではないわけです。
  ただ、これを言ってしまってはお終いなのかもしれませんけど、そもそも「怪物くん」という題材がアクション映画には向いていないのかと思いました。
 「怪物くん」においては、腕がにょーんとのびるところや、げんこつがでかくなるところなど、明らかに「これはCGだ」とわかるような感じで処理されます。
  これが例えば同監督の伊坂幸太郎原作『フィッシュストーリー』のように、細かなつじつまはともかく、メッセ−ジが別のところにあるような映画だったら有効なのですが・・・。
  怪物くんが子供向けアクション作品として銘打たれている以上、そのアクションには観客との一体化が求められるわけです。(『フィッシュストーリー』の森山未來のアクションを観る限り、アクションシーンが撮れない監督ではないとは思うのですが・・・)。
  それゆえ、明らかにCGとわかるようなかたちですと、どうしても観客の感情移入を阻害してしまうことになります。

 ?ルール説明がうまくいってない
  例えば、怪物くんたちが魔力をどういった感じで封じ込められて、それを取り戻すにはどうすればいいかというのが上手く行っていないと思います。
  ついでに言えば、この設定を用いたことにより、従者3人組が完全に解説役になってしまっているんですよね。
  従者の3人組が特性を生かすシーンが出てこなかったのは明らかに問題だと思います。
  ラストバトルでは「加勢しやがれ!」と心の中でツッコミまくりでした。
  あとは、岩石男がどういったメカニズムであんな巨人になって、どう行った理由で人間界や怪物界の脅威になるのかがわからないので、ラストバトルに全然乗れなかったのもあります。

 ?怪物くんってミスキャスト?
  そして、ラストにこれがそもそもの問題なんですけど、大野智くんってミスキャストじゃないですか?
  例えば、ここまでの欠点も漫画のキャラクターデザインなら「まあ、子供がやってることだし」ということで、まだ許せた気がするんです。
  ただ、大野君自身は頑張っているとは思うのですが、どうしても普段の大野君の姿を思い浮かべてしまうので。

 以上の理由で、あまり個人的には評価できない映画でした。