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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

まほろ駅前多田便利軒(’11/大森立嗣)(★★★★☆)

2012/1/29鑑賞

DVD



 2011年公開。原作は三浦しをん(未読)。

 大森立嗣監督の映画は前作『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』がそこまでピンとこなかった(悪くはなかったけど・・・)のでスルーしていたんだけど、これは見ておけばよかったかなと思った。



 すごく「場」に規定されたお話で、すごく青春映画として見事だった。

 主演は瑛太と松田龍平。この二人は『アヒルと鴨のコインロッカー』(’07/中村義洋監督)でも共演していて、この映画を見ていた人間からするとこのキャスティングだけでほろ苦い青春のせつなさを思い起こさせる!ネタバレになってしまうので詳しくは語れないが、辻仁成風にいうなら「やっと会えたね」といったところか。

 あとは

 

 さて、中身。

 テンポとしてはかなりゆっくり進む感覚。ここに観客を引き込むのが、ほかならぬ松田龍平の語りであるわけだ。僕、これ松田龍平さんのベストアクトだと思います。飄々としていて、とらえどころがなくて、「敵かな?味方かな?」感があるけれどひとつだけいえるのは、「信用できる」ということ。

 なんかね、松田龍平と瑛太のかけあいって、ちょっとクスってくるんだ。僕はDVDで見たから心置きなく笑った。特にね、塾の送り迎えをする子供の家で「フランダースの犬」を観ていて、



龍平「最後どうなるか知ってるか?」

子供「知らない」

龍平「泣く」

瑛太「行くぞ」



 この瑛太の「ネタバレ自重しろよ」と言わんまでの間がなんか笑えた。



 とにかくこの空気にずっと浸っていたいという心地よさがあった。

 それだけ物語に没入していたこともあってか、ラスト30分の急迫的な展開はそんなに好きじゃない。

 ただ、それまでの牧歌的なところから、親との関係性(虐待等)の話にまで踏み込むところなど、この移行は映画的にちょっと「怖い」ところまで行っていた気がする。だから映画的に悪いわけじゃない。

 もちろんこれは、誰もが誰かに必要とされることで希望になっているのだという作品のテーマを浮き彫りにするために必要な場面であることはわかっているんだけれどね・

 あとは、全体にこの構成(大事なものを失う→大切なことに気づく→元に戻る)の展開が完全にラブストーリーのそれに近くなっているところに、若干のBL風味を感じてしまった。これは三浦しをんの作家性とは思うが、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』にも近い部分はあったな。

まほろ駅前多田便利軒 スタンダード・エディション [DVD]

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