ミッドナイト・イン・パリ(★★★★★)
2012/7/16鑑賞
@桜坂劇場Bホール
ウディ・アレン監督41作目の映画。
休日の昼間の回だったのですが、なんとほぼ満席!客層としてはご高齢の方が多かったのですが、前に同じ劇場で『人生万歳!』('10)を観たときよりはまだ若年層も見受けられました。
あらすじは、ハリウッド映画の脚本で糊口をしのぐも本来は小説家になりたい男が婚約者とパリに来た際にふとしたきっかけから1920年代のパリにタイムスリップするというもの。
とにかく、オープニングで結構長めにパリの風景を映すんですよ。ちょっと劇映画としては明らかに長すぎるくらいの長さで。ので、実質的にお話が進行しているのは90分くらいかと思います。
ぼく、なぜか主人公がフィッジェラルド夫妻に初めて会うシーンで涙があふれてきて、それから10分くらい泣きっぱなしだったんですよ。なんだろ?映画というのは欲望の具現化したものなのかもしれないけど、これくらい無邪気に自分のほしいものをスクリーンに映せる人っていないよなあと思って、なんだか主人公が偉人に会えたことのうれしさが伝染したのかもしれない。
それから、文学や絵画、映画の偉人達と出会いながら、彼自身自らの表現、そして恋愛に対して答えを出していきます。
ところどころ辻褄が合わない部分もあるのですが、なんか許せるオーラがあるんですよ。
面白かったのが、この映画の登場人物ってほとんど浮気をしているんです。
だから、確実にデートムービーにはあっていません。むろん、そういったことを認めあえる仲なら別ですが。
個人的には、この映画に出てくる登場人物に偉人が多いこともあって、そこまで気にならなかった。ヘミングウェイやピカソが浮気をしていても、彼らを一般的な常識に落とし込むことなんてできないわけだし。
そして、主人公サイドの凡人側の浮気についてだけれども、ぼくはその存在を描くこと、そして彼の決断に関しても言い訳がましいことを書かないことが逆に誠実さなんじゃないかと思った。
どことなく、恋愛に限らずすべての、何かにあこがれる行為について、「現状に不満を持ち」「自分にないものを求めてしまい」その間をいったりきたりしながら、自分にとって最も合った着地点を見つけるという普遍的な流れを描いているのではないかと思います。