ダークナイトライジング(★★★☆☆)
2012/7/27鑑賞
@シネマQ
正直に言えば、ストーリー展開についてはネタバレせずに語りにくい作品ではある。
町山智浩さんのネタバレ感想
でも言われている通り、穴の多い脚本ではあるが、少なくともシリーズに対しての決着はつけたという意味で素晴らしい脚本だとは思う。
また、物語中盤でベイン(トム・ハーディ)に苦しめられるバットマンの姿には、ひょっとすると大人になってから観た映画では一番じゃないかと思うくらい絶望した。小さい頃親に連れられて観に行ったドラゴンボールの映画で味わった恐怖がよみがえったような感触があった。崖の上にたくさんのメタルクウラ。
ただ、今回改めて感じた。
おれ、クリストファー・ノーランの演出苦手。
ティム・バートンは、初期に関してはこの人本当に人間が嫌いなんだろうなという感触を味わうが、それはつまり人間が好きだということの裏返しだということが伝わってくる。
ただ、ノーランさんは人間が好きとか嫌いとかいうよりも、関心がないんじゃないかという気がしてくる。
同じ傾向をジョージ・ルーカスにも感じる。ぼくは両者ともちょっと苦手です。
例えば、あまり演出に溜めを使わないので、役者の演技をじっくりみせるということをしない。
『ダークナイト』('08)のジョーカー(ヒース・レジャー)はその演出方針がうまく行っていたけれども、基本的には人間を感じることがあまりできない作風です。
で、ぼくはやはり映画の中に人間を見たい。
例えば、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)というキャラクターだって、もっと描きようがあったんじゃないかと思う。それが欠けているため、ラストの高揚感があまりない気がした。
映画はおカネをかければかけるほど、人間から遠ざかっていくのではないかと思う。
もちろん、それをうまく回避できている人もいるのだろうけれども。
そういったわけで、ノーランの映画ってラストまで観て、なんだか釈然としないものが残る。
単に、自分には合わない作家さんというだけなので、ファンの方はどうかお気になさらずに。