サニー 永遠の仲間たち(★★★★★)
2012/9/29鑑賞
@目黒シネマ
沖縄では公開されなかったのだけれども、東京に行った際に鑑賞。本当に、観ることができてよかった作品。
今年の映画では最も泣いた映画の一本だった。
冒頭からすごくスムーズにお話に入っていくことができた。思うに、使われている音楽は80年代のヒット曲であるのだけれども、1984年生まれの自分には生まれたころに耳にしていて無意識的に刻み込まれているのかもしれないし、あるいは青春のあこがれていた時期に耳にした音楽がそれらの音楽の影響下にあるからなのかもしれない。それくらい、「Time After Time」という曲は物語に引き込む力を持っていた。
あと、この映画を語る際に出てくるのが、女の子グループが美化されているということ。このあたりがジェンダーによる違いだとか、そういった話題になる。
だが、ぼくに言わせれば、男だって変わらない。
男性社会的グループにおける会話、いわば男子校的コミュニケーションにおいても、陰口は存在するし、陰湿ないじめはある。男のほうがむしろ競争原理を植え付けられている分、エスカレートした際に度を過ぎてしまうほどだ。
そういったコミュニケーションに疲れたときに、こういった映画をみるとほっとする。
要は、ここに出てくる「サニー」という仲良しグループは非常に理想化された集団であり、『けいおん!』みたいなものだ。
だから、案外イム・ナミかわいいとかスジちゃん萌えとか、そういった接し方も間違いではない。
ただ、ここがやっぱり一歩踏み出たところだと思うんだけれども、ちゃんとほろ苦い思い出を描いていたり、それから25年間経ってしまった後に現実に直面することなども描いているおかげで、高校時代の思い出が輝いてみえること、これをきちんと映像的に説得力あるかたちで描いているのがいい。
特に白眉なのが、終盤のベンチの場面。
これは精神分析でいうところのインナー・チャイルド・ワークの具現化であり、これを観れただけでもぼくは救われた気持ちになった。
あの頃は抱えきれなかった痛みかもしれない。でも、大人になった今ならちゃんと向き合える。あなたもきっとそうなれる。だから大丈夫。
そんな言葉が聞こえてきた。
いろいろなところで言われている終盤の展開は、確かにあまりにもご都合主義で、映画としての完成度を落としているのは間違いないのだけれども、あまりにも好きな部分が多すぎて、さらにそのご都合主義的展開の後の流れが最高すぎて、鑑賞後2週間経つ今でもあの映画体験は本当に幸せだったなと思う次第。
名作です。
サニー 永遠の仲間たち デラックス・エディション DVD/TCエンタテインメント
¥3,990
Amazon.co.jp