OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2012年観た映画ランキング(51-75位)

このあたりから、突出した部分はあるし、時期的には上位に入っていたけれど冷静に考えてみるとランクを落としたみたいな映画も出てきます。



75位 エクスペンダブルズ2

 僕はエクスペンダブルズの受容のされ方に疑問を感じていて、一応エンターテイメントとしての性格が強いはずなのにそれを愛でる人たちにはなぜか閉鎖的なものを感じてしまうというか。そんな先入観があったのだけれども、観てみたらこれがちゃんと面白い。確かにこのメタ的なセリフは若干閉じてるんじゃないかという部分もあるんだけれども、このくらいなら俺でもわかるというレベルなので、実は僕に対しても開かれていたということを実感したり。今後エクスペンダブルズシリーズがジャンルを超えた傑作を生み出す可能性は限りなくゼロに近いと思うんですが、少なくともこのくらいのレベルを続けて出してくれるのなら僕は支持していきたいと思います。



74位 ガール

 某ラジオ番組でこの映画についての感想をメールで読まれたという意味で思いで深い作品なのですが。いや、この映画一見すると女子賛美であるようで、様々なエピソードを対比させていることで男子にとって一見理解不能なガーリーな考え方を観直させるようなとっかかりにはなっていると思うんです。ただ、そのあと『サニー 永遠の仲間たち』という最高なガーリー映画を観たおかげでここにとどまりました。



73位 今日、恋をはじめます

 この手の映画は実は結構好きだったりするんですが、あきらかにアウェーなんで今までいかずにいたんです。ただ、この前番宣で観た武井咲があまりにも可愛く、『愛と誠』でも悪くなかったし観に行ったんですね。

 観に行った日、指定席でとったのですが完全に周りがJCJKで囲まれていて不審者扱い。あれだけ緊張感を強いられた映画経験は久しぶりでした。次から隅っこをとろうとか、不審者扱いされたらゲイってことで乗り切ろうとか、あるいは「実は興味あるんだけれども男一人で行くのって恥ずかしくってさあ」みたいな名目で女の子を誘うといいのかもと思いながら、隣席に気を使っていました。ある意味、この経験以上に恥ずかしいことなんてそうそうないわけで、今後どんなことでも大丈夫という心持になりました。

 前半ははっきりいって物語に集中できなかったけれど、Perfumeナチュラルに恋して」がかかったあたりから物語的にドライブがかかった感じ。オープニングでコミカルな演出を見せているからいわゆる漫画的演出も乗れるし。あと、つばきというキャラクターの古風性に武井咲をはめこんでいることで際立つ魅力が発生しているのは事実。ただね、付き合って以降話が一度止まるんです。その部分恥ずかしかった。それから新たな障壁が出てくるけど、ここは『僕らがいた』と同じ問題を抱えていて、それは前半で既に克服した障壁なだけに物語的に乗れなくなる。ただ、つばきを恋愛一辺倒のキャラとして描かなかったところは『僕ら〜』より好感が持てた。ただ、つばきの夢にかかわる部分はもっと物語に絡めてもよかったと思うが。あと、いかにもvベタドラマのようなクサいセリフって、一般の観客もツッコミ対象としてうけとっているんじゃないかと思った。



72位 月光ノ仮面

 板尾監督の映画で、途中までは何とか評価したいと上位に置いていました。

 この映画、落語をモチーフにしていて、ラスト5分くらいまでは本当につまらないんです。ある種の桃源郷的な世界観を持っていて、その美術は安っぽいのですが、それが伏線になっている感もありますね。

 ただ、本当にそのつまらなさを吹き飛ばすラストのある展開があって、僕はここ一点だけで評価したいんですよ。流石にそれまでの展開があまりと言えばあまりなんだけど、でもあのラストの多幸感はこの映画でしか味わえないしなー。



71位 捜査官X

 変な映画ですよねー。とにかく前半、「これ、ラストに参考:民明書房」とか出ないよなーとか思いつつ観ていました。アクションは流石だと思います。しかも、映画内でそのアクションを考察するとか、そんな映画観たことないですよ。順位がそんなに上にならないのは、単にぼくがドニー・イエンが好きじゃないだけです。



70位 アベンジャーズ

 これ言うとアレなんですが、結局僕がどうもこのアベンジャーズの盛り上がりに乗れなくて疎外感を感じたというのがここにとどまった理由です。実際に映画を観ても、どうも閉じた印象を受けたんですが。



69位 J.エドガー

 名画は眠くなる、というんはあからさまなフォローにも程があるといった感じですが、でもこの映画の硬質な感触は確かに好きです。僕はたぶんこの映画の本質を全然理解しきれてないと思います。



68位 哀しき獣

 前半すごく好きなんですよ。生活感あふれた描写とか、主人公についてきちんと言葉でなく分かるように描いてますし。ただし、終盤登場人物が錯綜しすぎて、やっぱりわけわからなくなっちゃうんでマイナスです。



67位 ポテチ

 確か観たのは日曜日の夜だったかな。ぼくは伊坂作品を日曜日の夜という次に仕事を控えた日に読むと安心するんですね。



66位 おとなのけんか

 密室劇。これも特に破たんなく面白い作品ですよね。単に、ぼくはポランスキーなら『ゴーストライター』路線のサスペンスのほうが好きってだけです。



65位 魔法少女まどか☆マギカ【後編】希望の物語

 TVシリーズを観た状態で後編のみ鑑賞。こちらも一本の映画としては落第レベル。ただ、まどマギという作品の持つ魅力がスクリーンに延ばされた時に決して消えてはいなかったと思ったのと、観ている瞬間は確かにハッピーだと感じたのでここに。



64位 KOTOKO

 これははっきりいって失敗作だと思うんです。Coccoというアーティストの持つパワーと塚本晋也のテクニックが拮抗していて、映画全編がさながらバトルなんですが、この勝負、Coccoの圧勝です。ただ、他の映画では見られないものを観ることができるという意味で、オススメではあります。



63位 それでも、愛してる

 うつを取り扱った映画。時々ビーバーが怖く見えるあたり、監督としてのジョディ・フォスターの力を思い知った。非常に優しい映画だと思いますよ。



62位 鍵泥棒のメソッド

 内田監督ってきっといい人なんだろうなと思う。前作までは「この映画で本当に人が死んだらすごいよな」と思うことがサスペンスになっていたけれど、今回はそういった意味で、騙されたという快感はなかった。ただ、内田監督の人柄の良さが完全に発揮された終盤のエピソードは非常に好み。ああ、この映画ラブコメだったんだと改めて気付かされた。あとは、香川が堺に向けて言ったお説教は非常に身につまされました。



61位 のぼうの城

 外から見ると明らかにダメダメなリーダーなのに、なぜかうまく回っている組織ってありますよね。『のぼうの城』を観て感じたのは、そういった組織だった。僕はその点でのぼうという非現実的なキャラクターに命を吹き込むのは成功していると感じた。ただ、時代劇的なセリフと現代的なセリフがチャンポンになった構成はよろしくない。



60位 人生の特等席

 初めて観た時はただひたすら脚本上の欠点が気になった。ただ、観終わってしばらくすると、なんかよかった記憶しか蘇ってこないんだよね。アメリカの美点を抽出したような映像、エイミー・アダムズの可愛さ、イーストウッドの頑固さ。きっとイーストウッド演じるガスだって、一緒にいたらうっとうしいが、離れて暮らすとふと愛しく思い出すことがあるのだろう。映画自体の存在がイーストウッドに近似している点で素晴らしい作品。



59位 アタック・ザ・ブロック

 団地を舞台にエイリアンと攻防戦を繰り広げる不良グループの話。このエイリアンとは要は彼らの先行きが見えない将来を象徴している。団地が19階というのも象徴的だ。



58位 あなたへ

 高倉健映画は一種のアイドル映画。脚本がどうとか、演出がどうとか言いたくなるのも無理はないし、さすがにこの役を健さんが演じるのは無理がある(この点『人生の特等席』にも通じる)。ただね、ロードムービーとしてのグルーヴが健さんという媒体をもって増幅される感触を覚えたというのと、ラストに集約されるある一点、あそこで健さんのまだまだやれる感が出たのが本当によかったので。



57位 別離

 イラン映画において、子供はわかってもらえなくて、ミュージシャンは迫害されているイメージしかなかった。それでは中流階級はどうか。残念だけど、まだ弱き人を守るための体制が確立されているとは言えない。この『別離』で描かれる問題はそれに加え、個々人間のそれも含まれる。ディスコミュニケーションがヨ寄せるままならなさ。非常に重たい鑑賞後感だった。



56位 ル・アーブルの靴みがき

 映画史上最高のハッピーエンド。まさにその言葉がふさわしい。

 絶対にもう一回見ればもっと評価変わるのにな。あのラストを思い出すだけでちょっと涙がちょちょ切れてきます。



55位 ブラッディ・スクール(DVDスルー作品)

 ホラー映画に見えてそのフォーマットは青春映画のそれを借りている。サイドストーリーがどんどんメインストーリーを食って、映画としての体をなしているとは言えない。でも、これはある意味『桐島、部活やめるってよ』で前田君たちが本当に撮りたかった映画なんじゃないかと思う。



54位 ハロー!?ゴースト

 レベルの高い韓国映画の中では、最初は演出も脚本も平凡だと感じた。ただ、後半30分である事実が明らかになるところで号泣。これは大林映画に近いところがあるよ。



53位 屋根裏部屋のマリアたち

 フランス人は恋愛のことしか考えてないと実感するような映画。これ、一応不倫なんだけど、よくもまあこんなにあっけらかんと描けるものだ。ただね、それに至る、恋愛とは欠落を埋めることだという部分が非常に腑に落ちたので、ここに。



52位 宇宙兄弟

 明らかに映画的でない題材だし、実際に欠陥は多い。てか、「俺でも宇宙飛行士になれるかも」と思わせたらダメでしょ。ただ、宇宙兄弟の二人のキャラクターが本当に立っていて、僕は満足でした。



51位 テルマエ・ロマエ

 なんだろ。阿部寛がルシウスにはまっていたのもよかったし、仕事をなんとかしようともがいている時に偶発的な出来事により解決策を得るというのは、アルキメデスニュートンにも通じることだけど、私たちも日常で思い当たることはないだろうか。そういった点で、共感した。