エンド・オブ・ザ・ワールド(★★★★☆)
せかいーのーおーわーりーがー そこでまーーってーるーとー
2013/2/9鑑賞
@桜坂劇場
隕石衝突まで2週間と迫った中で、妻に逃げられた男・ドッジ(スティーヴ・カレル)が偶然出会った女・ペニー(キーラ・ナイトレイ)とかつての恋人にもとへ旅をする様を描くディザスター・ロードムービー。
ふつう、この手の映画だったら、世界崩壊を食い止める方向で描いたり、あるいは仰々しく大事なもので飾り立てたりするものだけれども、この映画は、その点では控えめだ。
ディザスター映画でよく描かれるのが、世界が終末を迎えることで自棄になった人間が発生し、無政府状態に陥る場面。この映画でも確かに、自棄になって暴動を起こす人間、享楽にふける人間は出てくる。
ただ、一方でインフラは深刻な状態に陥るほど壊滅してはいないし、正気を保っている人も多い。
しかしながら、ひょっとすると本当に世界が滅亡する時って、実はこんな感じじゃないかという気さえする。皆が未来がないことで欲望のリミッターを外す中で、それでも外さないことで世界の均衡を保とうとする人間はいるのかもしれない。彼らの違いはいったいなんだろう?
劇中でずっと自らの仕事に従事してきたある人物が、最後に仕事を終えたときに、それまでのパブリックな言葉ではなく極めてプライベートな言葉で世界が最期を迎える時どういった過ごし方をするか述べるんだけれども、ここが本当に泣けた。
なぜ彼が、世界の終わりだというのに公共的な仕事に従事してこれたのか?それはきっと、彼が最愛の人に肯定され、自分の生活に満足していたからなのだ。
このシーン一発で持ってかれた。と、同時に、今の自分にはそんな人がいないなとも思った。
そんな人がいない場合、よりどころになるのは好きなレコードとか、そういったものになるのかもしれない。
ただ、やはり世界の終わりを一緒に過ごすことができるひとがいたら、それでいいのかもしれない。
真面目なトーンで書いてきたけれど、基本的にはユーモアにあふれた映画です。劇中にかかる音楽の趣味もよくて素敵です。
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