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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

真夏の方程式(★★★☆☆)


ディア・プロフェッサー



解説

東野圭吾原作、福山雅治が天才物理学者・湯川学を演じる人気シリーズの劇場版第2作。子ども嫌いで有名な湯川が、10歳の少年・恭平と海辺の町で夏を過ごすことになり、事件に巻き込まれていく姿を描く。手つかずの美しい海が残る玻璃ヶ浦で海底資源の開発計画が持ち上がり、その説明会に招かれた湯川は、宿泊先の旅館「緑岩荘」でひとりの少年・恭平と出会う。やがて旅館の近くで男性の変死体が発見され、遺体の身元が「緑岩荘」に宿泊していた元捜査一課の刑事・塚原だということがわかる。地元警察は塚原の死を転落死として処理しようとするが、現地入りした捜査一課の岸谷美砂は、塚原の死に不可解な点があることに気づき、湯川に事件解決への協力を依頼する。吉高由里子北村一輝らシリーズのレギュラー陣に加え、杏、風吹ジュン前田吟らが共演。監督は前作「容疑者Xの献身」と同じく西谷弘。(真夏の方程式 : 作品情報 - 映画.comより)

 写真は杏ちゃんが写っているのを使いたかったので。この黒さはちょっとデフォルメしすぎと思うけど、演技はとてもよかった。


 おそらく、どこに軸足を置くかでものすごく評価が分かれる映画かと思う。
 この映画、かなりいい部分とわるい部分がはっきり分けられている。

いい部分

・柳島克己さんによる撮影が素晴らしい
・ロケーションがよい
・夏の情感にあふれている
・少年のひと夏の経験として切なさを残すところ
福山雅治を初めとする役者陣の演技の見せどころ

わるい部分

・ストーリー部分やキャラクターの行動に若干の矛盾あり
・倫理的な問題
・後半は台詞が多くなるところ
・ミステリー部分の弱さ

 

 といったところだろうか。

 それで、いま日本に住んでいてこの映画を見に行く人というのは、『ガリレオ』シリーズのファンとそれ以外に分けられると思うわけで、ぼくは後者です。ちなみに、原作は『探偵ガリレオ』と『容疑者Xの献身』を読んだことがあり、後者は映画も見たことがあります。
 その立場からジャッジすると、上に挙げた部分の差し引きで★3つです。


 やはりドラマ部分が足を引っ張っている気がするんですね。
 今回は撮影監督に柳島克己さんを使っています。北野武映画などでおなじみの名撮影監督ですが、むしろ西川美和監督の『ディア・ドクター』('09)からの起用ではないかと勘ぐってしまいました。*1
 確かにテレビドラマの映画化と考えると、ものすごくリッチな気分になるのですが、柳島撮影監督の画面によって、この映画と同じボーダーに立たされていると思います。そうすると、西川美和監督ほど人物の掘り下げが出来ていないことがちょっとノイズになった感がありました。


『ディア・ドクター』と今作の共通点として、以下の3つがあげられます。

・どちらも、田舎を舞台にしている
・どちらも、うそをつく人物が出てくる
・どちらも、そのうそを暴く人物が出てくる

 西川作品がうそをつく側からの視点とするならば、これはうそを暴く側からの視点をとった映画です。*2
 福山雅治演じる湯川教授は、非論理的に言い争いを行う人々(おそらくは文系)を尻目にマイペースを貫いていて、ここは実に東野圭吾的だと思いました。
 つまり、究極的な理系であり、物事をはっきりさせることに長けた湯川教授という人物が、そうでない濁った人々のしがらみをどう読み解いていくのか(もしくは、どう読み解けないのか)が『ガリレオ』シリーズの肝じゃないかと思っていて、映画版ではこの括弧内を強調した。ぼくはそれは正解だと思う。

 ただし、やっぱりそれならドラマ部分をもっと整理するか、あるいは西川監督のようにドラマ部分を抽象化しテーマを前面に押し出してほしかったかな。

 ぼくの言っていることは多分好みからきた無い物ねだりなのだとは思う。
 ただ、やっぱりここまで来たらこの作品がドラマから飛び立っていくところを見たかったのです。

真夏の方程式 (文春文庫)

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ディア・ドクター [DVD]

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*1:子役の恭平くんに湯川教授を「博士」(すなわちドクター)と呼ばせている点でも連想した

*2:西川美和監督では後者の視点は若干単純化される傾向があるので、その意味でもこの対比は面白かった。