OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『リンカーン』(★★★★☆)

 スピルバーグが長年とりかかってきたリンカーンについての映画。憲法修正第13条が議会で審議される過程を描く。リンカーンを演じるのはダニエル・デイ・ルイス

 
 贅沢な画面の連続。リンカーンの伝記映画というアプローチを少し外した構成。はっきり言って勉強不足のため理解がおっつかない部分もあったけれど、とにもかくにも映画として楽しかった。映像としてはいわゆる「黒い」スピルバーグで、そこがぱっと白く開ける場面が印象的。
 やはりダニエル・デイ・ルイスは素晴らしい。共和党の会議なのかな?あそこで奴隷解放の重要性について語る場面でカメラがダニエル演じるリンカーンに寄って行くところ、演技も相まって素晴らしかった。
 あとは、タイトルに比して結構リンカーンの視点ではない場面も多く挿入されていて、ここが最高権力者であるがゆえに理想を実現することが可能になった一方で、自ら手を下すことができないジレンマを感じさせてよかった。
 見ていて思ったのが、リンカーンという人物が理想を実現するためには手段は厭わない点や狡猾な点を描いていた点。理想化されたリンカーン像しか知らなかったため、非常に興味深かった。ダニエル・デイ・ルイスといえば前に演じたキャラクターがあまりにも強烈だった(『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』('07)のダニエル・プレインビューさん)だったのでこのバランスは絶妙だっただろう。


 全体的にほとんど派手なシーンはないし、はたして一介の日本人であるぼくがどこまで理解しているか、自信はないのだけれど。ただ、このランニングタイムや少々いびつな構成、そしてそれを彩る超豪華な映像。これでもって、今は理解できなくてもいいから何が何でも観客の心にひっかけようとしているのがわかった。


あとは、ばかみたいな感想だけれども、やっぱり投票って大事だと思いましたね。