OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『あの頃、君を追いかけた』(★★★★☆)

 台湾で大ヒットしたネット小説を原作者のギデンズ・コー自身がメガホンをとって映画化した作品。
 問題児コートンと優等生シェンとの間の10年間にわたる恋愛を90年代青春風景やコメディを交えて描く。

 
 くぅーーーっ!染みるねえ。


 主人公たちの世代はぼくより五つくらい上で、だから彼らの青春ってのはつまり中学生の頃は高校生を、高校生の頃は大学生を憧れていた青春に近いわけです。
 まあ、正直コートンほど進展してないにせよ、この映画に似たような経験もなくはない。
 

 この手の映画は『サニー 永遠の仲間たち』('11)然り『建築学概論』('12)然り、時列が省略された時が勝負。そこに観客自身の思い出を投影できるから。この映画は前二者に比べると、省略の幅は少ないけれど、確かに自身の経験を投影できる時間省略があって、それが10年間を積み重ねる語り口と相まって効果を挙げていた。つまり、空白と書き込みのバランスが共感効果を生んでいる。
 はっきり言えば瑕疵はたくさんあるし、パンフレットを読む限りこの映画が台湾の『恋空』('07)である可能性も捨てられない。でも、とにかくキュートな一品。終盤の結婚式は本当に自分もその場にいる感覚になった。あのシーン、あのテーブルの席って7席あったような気がする。