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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『みな殺しの霊歌』(1968年・加藤泰監督)

 非常に独特。バランスは明らかにおかしいし、ラストもぶつ切りなのだけれども、それゆえ変な余韻を残す。やはり黒と白のコントラストが理屈よりも先に生理的な反応を作り出しているのがすごい。
 内田樹マイケル・ダグラスの映画を例に出してアメリカ映画に存在するミソジニー女性嫌悪)を説いていた。この映画における佐藤允の行動原理も実はそれがあるんじゃないかと思っている。だから、殺人動機の呑み込みづらさも、なぜそのきっかけとなる人物がああなのかも意図されてのことかもしれない。そもそも画面が雄弁なので、過去を映すシーンの光が映えわたっていたり、佐藤允は常に黒を身にまとっていたり、そして彼を更生に導き得た人物が登場する時に白い服を身に着けていたりと、黒と白の使い方が本当に素晴らしい。
 だからこそ彼が黒をぬぐい去れきれなかった幕切れが非常に皮肉なものに思える。加藤泰監督の映画は初めて見たが、間違いなくこの色使いは意図してのことだと思った。もし他の作品でもこういった演出が冴えわたっているなら、見てみたい。

あの頃映画 「みな殺しの霊歌」 [DVD]

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