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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『県庁おもてなし課』(★★☆☆☆)

 有川浩三宅喜重関西テレビ)のタッグは『阪急電車〜片道十五分の奇跡〜』('11)に続き二作目。


 嫌いではないです。日曜の昼下がりに見るにはいい映画でした。
 そもそもの問題なのだけど、原作の有川浩という人は「ラブコメを描きたい」という強固な作家性を持った人で、だからラブコメパートは、確かにこれが嫌いだっていう人がいてもおかしくないけれど、ぼくは楽しくみることができました。
 全体的にテンポはよかったので退屈することはなかった。前作『阪急電車』に比べ映画に近づけようとしていた。 

 ただ、今回は一応「お仕事ムービー」として宣伝されていることもあり、「観光立県」とか「民間感覚」等それなりに重いテーマも扱っているわけで、その点との兼ね合いが若干齟齬になっていた。やっぱり「働けー!」とは思ってしまうからね。
 

 ただ、まずこの映画の説得力を殺いでいるなと思ったのがキャスティング。前作『阪急電車』は沿線出身の人を多くキャスティングして、とどめにaikoを流すことで地域映画としての側面があったように思う。けれど、今回メインキャストに高知県出身者がいない!だから、主演2人がずっと高知に住んできたという気がしないし、高知県の名所を回る個所もどうも彼ら自身が観光しているような気分になってしまう。しかもそのシークエンスの締めは突然アニメパートになるので、PRというよりも宗教がかってみえた。
 ご当地映画に出身芸能人の出演というのはその役者の演技力は度外視してでも必要なものだ。ドラマだが『木更津キャッツアイ』('02)における氣志團の出演などまさにその典型だ。
 冒頭で高知県出身の有名人が何名か挙げられるけど、やっぱり広末涼子をキャスティングできなかったのが敗因では。
 県知事役で小日向文世さんが出てくるけど、あそこで本職を出すくらいしたほうが観光映画として説得力が出たんじゃないかな。


 それで、ちょっと観光映画のあり方を考えた。やっぱり観光映画というのは見た人が「行きたくなる」というのが目的だと思うんです。ただ、この映画のように、観光立県を行っていると主張して、観光地を見せると言うあり方は果たしてフェアなのかと。
 確かにハングライダーを行っているロケーションはいいと思った。でもそれくらいで、高知県出身者の方には申し訳ないけど、あまり高知という場所が魅力的に撮られているようには思えなかった。大林宣彦尾道を撮って以来、この手のハードルはとても高くなっている。


 最初に言ったけれどこの作家の本分はラブコメなので、この作品は原作の時点でうまく行きにくい部分があるけど、やはり撮影をもっとがんばって、ラブコメを主体に置いたほうがよかった。とはいえ、有川ラブコメの魅力が弱点を補っている気がするので、評価はまあまあです。