OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『ウォールフラワー』(スティーブン・チョボウスキー)

 レンタルDVDで鑑賞。
 青春を決して過大評価も過小評価もせず描いている(そりゃエマ・ワトソンが演じることで生じる付加価値はあるが)。
 なんというか、この映画を語っているとどんどん自分語りが出てきそうなんで、少し調節しながら話したいわけです。数年前mixiに友達向けに映画感想書いていたころは、その映画のテーマみたいなのを抜き出して、そこにこっそり自分を紛れ込ませるという手法をやっていて、その頃書いた感想文は今読んでも結構いけていると思う。『ウォールフラワー』はできればその手法で描きたい。けれども、今の自分にその頃にあった何かが失われているのも事実。いろんな人の評価方法を知ってから、自分で自分に課す制約が増え、それゆえ自分でも感想が面白くなくなったなと思う。
 そんなわけで、『ウォールフラワー』はなんかその、親しい知人に向けて書くような感じで感想を書きたいと思っている。そんな感じなんだ。
 思ったのが、ひょっとすると俺は誰かと繋がるために、映画や音楽、文学の感想を通してしかできないんじゃないかということ。そして、それを評する中に自分を紛れ込ませることでしか伝えられないんじゃないかということ。それが正しい評論なのか迷っていたから、しばらくは意識して出さないようにはして、けれども出てきてしまう部分はあった。
 『ウォールフラワー』に出てくるように、音楽や映画等によって他人と繋がることができるのって、俺にとっては最大の憧れです。だから主人公が初めて世界から認められる場面、「この映画が通常のフォーマットみたいに葛藤が生じるであろうことがこれから耐えられるだろうか」と思いました。
 正直、映画として観たら欠点もあると思うんです。ただ、俺はこの映画が刺さる側である人間であること、そして、一番刺さったらダメージが大きい時期に観られなかったことの間で今ちょっと迷っている、というのがこの映画に感じるなんかよくわからない感情なのかも。
 最後に、『ウォールフラワー』で主人公がサム(エマ・ワトソン)から眼鏡をかけてもらうシーンがあるのだけれど、過去青春映画において眼鏡というアイテムはイケてないものに属していた(ウィノナ・ライダーが出ていた『ルーカスの初恋メモリー』等に顕著)。あそこは時代の移り変わりを示しているのかも。

ウォールフラワー [DVD]

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