読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『マレフィセント』(ロバート・ストロンバーグ) ★★★★☆

2014年新作 movie

f:id:otsurourevue:20140925232613j:plain
2014/7/30@シネマQ

 事前の期待は低かったがとてもよかった!ディズニーにおける悪役の捉え方の見直しについて、新たなる段階に入っていると思った。
 これまで、『塔の上のラプンツェル』で、毒親をモチーフにした現実感のあるな悪役を描き、『シュガー・ラッシュ』では悪役そのものを主人公とし、『アナと雪の女王』もエルサは当初悪役だったというように、ディズニーはプリンセスが生まれて以来75年もの間なおざりにしてきた悪役の扱いを償っているように思える。その最新型。
 つまり、悪役にもそれなりに同情すべき点があることを描く。誰だって悪くなろうと思って悪くなったわけじゃないんだ、と。そしてこれまでのプリンセスストーリーへのある種の批評的解釈。その副作用なんだろうけど、王子様が登場したときちょっとずっこけそうになった(笑)
 悪役が悪役になる過程について、例えばディアヴァル(サム・ライリー)の登場シーンから見て考えるに、悪役が生まれる要因として「差別」があるということを物語に投げ込んだのではないか。マレフィセントもディアヴァルも黒を基調としているから、どうしても黒人差別のメタファー的な性格を読み取ってしまうんですね。そして、差別された者の犯してしまった行為と、その救済を縦軸にして物語は進行する。この時点で号泣しました。
 あと、妖精の国の再現度も素晴らしかった。どちらかといえばアニメの方に足を着けているように思えるけれども、隅々まで美術が行き届いていて、そこにいるような感覚が再現されていた。また、アクションも素晴らしい。物量で押すように見えて、きちんと動きの快楽にのっとっている
 それで、これが唯一の欠点だと思ったのが、マレフィセントは救済された。でも、「この物語」における悪役について、要はステファン(シャールト・コプリー)についても、ちゃんと悪役になる事情があるのに、その解決はちょっと物足りないのではと思った。もちろん意図してのことかもしれないけれど。
 僕はこの物語、ここまで描いたんだからディズニーとして、ハッピーエンド以外の、少々ビターなエンドを選んでもいいとは思った。真相を知っている者はいるけれども調和を保つため悪として生きるとか、そういった感じの。要は、ステファンを許し、マレフィセントは陰ながら見守ることを選ぶといった展開を採用してもよいかと思った。この点だけがマイナス。
 ともあれ、ディズニーが悪役という存在を弁証法的に呑み込んで100点満点の作品を作る日も近いと思いました。