OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『5つ数えれば君の夢』(山戸結希) ★★★★☆

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 レンタルDVDにて鑑賞。アイドルグループの東京女子流を主演に据えた青春ドラマ。文化祭のミスコンをめぐる一幕を描く。監督は新進気鋭の女流監督山戸結希。

 初めて見たとき、明らかに「不快」よりの感情だった。でも、時間が経って反芻するうちに、ひょっとしてそれは、実は観たくなかったものを見せられたからじゃないのか、そして、それこそが真実だったのではないかと思わせられた。
『ハイ・フィデリティ』ばりに僕の過去の辛かった失恋ベスト5を出すと、そのうち2名に女子高出身者がいた。能町みね子は「すべての女は女子高出身である」という言葉を遺しているけど、つまりは、過去のそういった相手が実は修羅を潜りぬけていたのだ、ということを映画という媒体で客観的に突きつけられた、その感触が「不快」にメーターを切らせていた。
 常に音楽が鳴り響くこの映画は「恋」をテーマにしている。けれども、その「恋」は今世の中で定義されているものでは狭い。改めて定義しなおすなら「素敵だなと思った人(物)に対し、接触したいと思うこと。もしくは、それに伴う行為」。そして、その「恋」が決して善い面ばかりではないことも、描いている。
 だから、もしアイドルグループを使って作劇するなら、100人中99人がすることをしていない。それは、全員が揃い踏みする場面を作ること、すなわち、メンバーの向くベクトルを同じ向きにさせること。BiSの映画にはそれがあった。『マジすか学園』は違うものの、あれは作り物という感触が強かった。でも、これはあまりにもリアリズム。エンドロールのほうがむしろ妄想に思えるくらいに。
 ただし、奇妙な構成、奇妙なセリフ回し、どこをとっても奇妙なこの映画は、確かに高校という地場に縛り付けられていた時のある感触を呼び起こさせた。2度目観たとき、確かに1回目よりは面白かったけどとあるシーンのダサさだけは擁護できないぞと思ったけど、改めて考えるとあのシーンが一番印象に残っている。
 この映画を観て連想したものの一つに、大島弓子とか萩尾望都の漫画があったのだけれども、彼女らの漫画にはSF作品もある。そのSF観もちょっと違っている。恋愛感情が宇宙的にまで拡がるような感触を持っている。それを久々に思い出させてくれた。