OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ブリングリング(ソフィア・コッポラ) ★★★★★

 @桜坂劇場。かなり楽しめました。
 セレブから貴重品の盗難を行う彼女たちの動機ははっきりしないところや、セレブ宅の構えがまるでショッピングモールのように見えてくるのはおそらく意図的だろう。  ただ、彼女たちの罪悪感のなさを、若い世代の傾向だとか、SNSとの繋がりだとか、あるいは性差等でレッテル貼りをするのはふさわしくないように思える。彼女たちはそういった決めつけを真っ向から否定しているように思えるから。
 この映画がティーンムービーとして素晴らしいと思うのはここで、彼女たちの行動は反モラル的ではあるけれども肩入れしたくなるし、なによりもティーンの頃の気持ちを思い出させてくれる。だから、なんか簡単に彼女たちの傾向を定義したくないのだろう。それで、考えたのは2010年以降に発表された同傾向の映画との比較。ティーンの犯罪という点では『スプリング・ブレイカーズ』に、SNSによる炎上という点では『プロジェクトX』を思い出させる。また、『ソーシャル・ネットワーク』も連想した。『スプリング・ブレイカーズ』はむしろアメリカンニューシネマ的な破滅を拠り所にしている点で、新しくはない。『ブリングリング』や『プロジェクトX』はティーンのノリが犯罪までエスカレートしていく様を描いているが、行きつく先は「破滅」ではない。観終わったとき「この人たち、こんなにすごいオマツリを経験しちゃって今後何があっても刺激が足りなく思えてくるんじゃないかな」と思って無償に寂しくなった。SNSにより、犯罪の沸点が下がっているともいえるかもしれないけど、それ以上にスピードが上がっていて、青春が高速で通り過ぎていくような感覚をこれらの映画(『ソーシャル・ネットワーク』『プロジェクトX』『ブリングリング』)に覚えた。だからこそ、観終わったとき寂しくなったのだろう。