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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

嘆きのピエタ(キム・ギドク)

 これはすごい。過去のキム・ギドク作品に比べわかりやすくなっているものの、相変わらず凄惨。でもどこか穏やかなものも感じる。

 プロット的な部分の特異さもそうなのだけれど、キム・ギドク映画の中では明らかに現実のコードを逸したものが出てきて、それがこの映画が現実から隔絶されたものという印象を与える。この映画で言えば、階段を滑り落ちるウナギでしょう。このウナギの扱いはその後の展開を示唆する。また、序盤から主人公が動物を殺して帰ってくるところなど、この人物が命を(自分のものも含め)捨て鉢に扱っているのがわかる。それゆえ、その後彼が人間に近づいていく展開や、それから先含め、「じゃあ、どうすればよかったのか」と考えるとやるせない。ただ、これはキム・ギドク作品の特色なのだけれども、登場人物が自らの行動原理の果てに彼岸に達してもどこか突き抜けた風が吹いているような感触を覚える。それはキム・ギドクの画作りや編集が、生理に訴えることにおいてに優れているからだと考える。

 今回の映画はかなりの部分がさびれていく街だったり、果ては廃墟で展開される。黒沢清作品をちょっと連想したけど、その舞台設定がなんというか登場人物を孤独を、はたまた観る者の孤独を代弁してくれるように思えた。

一部ネタバレ
今回のラストって、『サマリア』にちょっと近いよな。あの映画の終盤に重要な役割を果たしたものが出てくるし。その道具は『悪い男』のラストでも重要な役割を果たすわけだから、やはりキム・ギドク作品においては重要なモチーフなのだろうか。

嘆きのピエタ [DVD]

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