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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ビフォア・サンセット(リチャード・リンクレイター)

 私自身は3年前に『ビフォア・サンライズ』を観てから、間をおいて今回続編を観ることにした。
 映画の中でも現実においてもあの甘い思い出から9年経っている。

 最初は明らかに取り繕っている会話だってのがわかるので、ちょっと乗り切れなかったのだけれども、船に乗ったあたりから本音が出てくる。このね、本音が出てくる境目というのはうまいグラデーションになっていて、映画に引き込まれるんだ。で、『ビフォア〜』の甘い世界の外に、結構厳しい現実がある。それを下手にカットインしないことで、観客の普段の生活を投影させることができる。恐ろしい手法やで、これ。しかも、その空白というのは、彼らが別々に過ごした9年間でもあるわけだし。あと、タイムリミットがあることも映画としていい効果を挙げている。僕は観ていて、果たして自分なら空港に行きたいのか、それともこのままでいたいのか、判別がつかなかった。これは僕の優柔不断な性格を現わしているのだろう。それくらい、感情のドラマに没入できた。あと、取り繕っている会話にも徐々に「老い」や「死」などの問題が垣間見えていて、この辺のグラデーションが素敵なんですよ。僕はこの映画に置いて、どの段階から本音がこぼれおちてきたのか、その境目がはっきりとしないところに映画として不確定なものすらとりこむ懐の深さを感じる。

 彼らにとって、9年前のウイーンでの日々は三宅隆太監督が言うところの「心霊」になっているのかもしれないな。だから、一般的に多幸感があると言われるラストも、ちょっと複雑なものが残った。


ビフォア・サンセット』の船の上からの議論って、完全に『テイク・ディス・ワルツ』のそれに重なるよな。

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