依頼人(ジョエル・シューマッカー)
TVにて鑑賞。おそらく、かなりカットされているので正当な評価はできないけれど、それなりに楽しめました。
『依頼人』について興味深いのは、この映画の中で「父親」的な存在が物語の中心から排除されていること。出てくる男性は、例えば殺し屋のアンソニー・ラパーリアは悪役だが間抜けで、いいキャラクターだけど父親的ではない。トミー・リー・ジョーンズ演じる検事もマフィアとのチェイスには絡まない。 そして、主人公の少年とスーザ・サランドンの関係は疑似母子関係になっていくわけだけど、この少年自体がもともと母子家庭であり、その母親にも少々問題ありと考えられる。このいびつなバランスが類型的な物語に不思議な感触を与えているように思った。少年とスーザン・サランドンとの関係性は疑似母子関係でありながら、疑似父子関係に近づいているように思う。で、スーザン・サランドンは確かに父親的な役割を演じようとしていながら、若干の弱さも持っている。そこがこの物語に安心できない部分を与え、サスペンスを増している。あと、何回か繰り返される言葉として「(ある行為)をすると(その行為をしてやりたい相手)と同じになる」というのがある。あくまでも相手と同じに堕さない高潔さを目指しているストーリーが、ある解決法で結実するところなど巧いと思った。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2000/04/21
- メディア: DVD
- クリック: 43回
- この商品を含むブログ (11件) を見る