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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

熟れすぎた乳房 人妻(曽根中生)

 とてもよかった。『恋の罪』(園子温)とテーマが一部重なるような気がした。今の自分は、この映画が果たして「行ったっきり帰ってこれなくなる話」なのか「行って帰ってくる話」なのかがつかめずにいる。
 まず、演出のエキセントリックさは前半のほうが大きい。とくに性行為の際の小道具の使い方がいかれている。けれども、この感じは後半なりをひそめる。特徴的なのがディスコの演出。前半の点滅が落ち着かなくなるくらい早いのに対比し、後半ではゆっくりになる。で、物語は、貞淑な主人公・宮下順子が、奔放な周囲に感化されていく様を描いているようにみえる。けれども、それなら宮下が体を重ねる相手は1人目と2人目が逆のほうがわかりやすい堕落劇になるはず。でも、そうなってはいない。このあたりがこの映画の一筋縄ではいかないところ。よく考えれば『時計じかけのオレンジ』は構成だけとれば成長物語といえるわけで、この物語はそういった成長物語としての転落劇の構造をとっていない。けれども、映像的に言えば収まっている。この、カーブが一様ではないがゆえにぐらぐら揺れる感じは、そのまま画面の向こうの人間を翻弄させているように思えた。つまり、これはあくまで転落の途中なのでは。


(追記)
この真魚さんの評を読んだあとでは、ぼくの見方はまだ物語に支配されていたのかもしれないと思った。 / “『熟れすぎた乳房 人妻』 - 真魚八重子 アヌトパンナ・アニルッダ” http://d.hatena.ne.jp/anutpanna/20070818/p1