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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ウルフ・オブ・ウォールストリート(マーティン・スコセッシ) ★★★★

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 初めに言っておくと僕はそんなにスコセッシは好きな監督ではないです。『ミーン・ストリート』や『タクシードライバー』は好きだけれども、大作路線はちょっと疲れるので。ただ、それでもこの映画の超弩級さにはひれ伏すしかない。
 とにかく、全編を通して明らかに度を超えた乱痴気騒ぎを再現することに奉仕されていて、ストーリーはそこまで重視されていないように思えた。というよりも、ネタバレになるかもしれないがスコセッシの某代表作*1とほとんど同じ展開。僕がスコセッシ映画を観て疲れるのって、この人本当に人間が嫌いなんだろうなと思わせられるからで、いわゆる「温かみ」みたいなものとは程遠い世界が描かれる。いや、ワンシーンだけわかりやすい関係性を感じたけれども、それも後で否定されるわけだし。
 ディカプリオの演技にスコセッシ映画に出演した時のデニーロの演技も重なるし、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のダニエル・デイ・ルイスのようにも思える。まあ、要するに「やりすぎ」。これまでもセルフイメージをぶっ壊す役をやってきたけど、これは総決算でしょう。ディカプリオがほとんどトレードマークと化しているオールバックを中盤以降、結構な頻度で崩していたのが印象的で。前髪がだらんと垂れているのが何より雄弁だった。ディカプリオにとってイケイケドンドンの象徴がオールバックなのかも。
 どなたかのツイートで、スコセッシは『グッドフェローズ』に至るまで映画のスピードをどんどん上げてきたと言っていた。その後、スコセッシで言えば『カジノ』がまさにスピーディな映画ではあったけれど、この映画のスピードはフィンチャーがその後受けついでいた感がある。フィンチャーは『ファイト・クラブ』や『ソーシャル・ネットワーク』で映画のスピードを更新した。で、スコセッシはこの映画で、『グッドフェローズ』の方法論に『ソーシャル・ネットワーク』の技術を取り込み最高値を更新した。それは「fuck」の数が象徴している。だから、相変わらず厭人観は漂うのだけれども、それでも最後まで見てそこまでイヤな気持ちにならないのは、この『ソーシャル・ネットワーク』的な情報圧縮術によるものではないかと思う。あと、ジョナ・ヒルを初めとする面々の面構え。

*1:『グッド・フェローズ』