三人の妻への手紙(ジョセフ・L・マンキーウィッツ)
思ったよりも大胆な構成。いきなり話題に出ている人物のナレーションが入ったり、回想が本編を食ったり。しかしながら、マクガフィンが虚実を明らかにする展開が見事。つまり、その場にはいないアディという女性が映画全体をひっぱるわけです。そしてアディの存在は三人の妻たちの影の部分を詳らかにし、同時に光も当てる。個人的には前者だけでいいかなあなんて思っていたけれども、当時の「娯楽」作品であることを考えると仕方ないかも。現代の監督さんだったらこの設定を用いて、多分オープンエンドにすると思うんですよね。観客に宿題を持って帰ってもらう感じの。ただ、この作品はこれでいいとは思うけれども。映像としては、豪奢なセットが女性でなくともうっとりできるほど美術が優れていた。電車で揺れる家の中のキスシーンは性的な暗喩だろうし、あと顔は映らないけど一瞬だけ映るアディはちゃんと怖かったからね。
- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
- メディア: DVD
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