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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

悪の法則(リドリー・スコット)

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 ライムスター宇多丸さんをはじめとする色々な人の批評で補助線が引かれていたこともあってか、この映画の持つ不穏さが自分にとって合致するような、映画経験でした。

 ぼくにとって、『悪の法則』は2013年の1位に選んだ『ゼロ・ダーク・サーティ』と同じ効用を持った映画です。どちらも、この世界の持った逃げ場のない法則性を露にしており、そこに安易な救いはないのだけれども、ただ、それを描いてくれていること自体が救いになるような印象。主人公がどういった悪事に加担したのかとか、背後にどういった組織があるのか等、全貌は結局明らかにならないのだけれども、それゆえ普遍性を感じる。ちゃんと色のついた役者さんを起用しているにも関わらず、フィクション性を超えて世界のどこかで起こっているような感覚に陥る。それは技術力の高さに裏打ちされた部分ではある。メキシコ付近の渇いた光景は素晴らしかった。(そういえば『ゼロ・ダーク・サーティ』も渇いた映画だった) また、スライドギターの音色もよかった。

 で、かなりわかりやすく主人公にとっての後悔を象徴するようなシークエンスがあって(電話の場面)、ここで音楽はわかりやすく感傷的になるのだけれども、こここそがぼくがこの映画を上位に推そうとした理由。かなり絶望的な場面なのだけれども同時にカタルシスを感じた。自分にとって『悪の法則』と『ゼロ・ダーク・サーティ』に共通すると思う部分は、この世界が酷薄であるということをちゃんと描き、身の処し方すら示せないことも伝えていることであり、そしてそれが今の自分にとって重要なテーマだったことに他ならない。

 ただ、「これが本当のカーセックスだ!」みたいなあの描写の真意は正直図れない。この無駄をそぎ落としたような映画中、あの描写だけが意図がつかめない。