OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(アレクサンダー・ペイン) ★★★

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 実を言うと、過去のアレクサンダー・ペインに比べ、若干のれなかった。ただ、これはあくまでも受け手の問題。それをまず表明しておく。私の父はこの映画に出てくるブルース・ダーンにちかいところがあったんですね。だからかもしれないけど、逆にアタマで見るような感じになってしまった。しかするとこの問題って、劇中の息子が中年に差し掛かっているように、もう少し歳をとらないと咀嚼できない部分あるのかもしれない。
 この映画の中でブルース・ダーンの演じている父親は、人の言うことを信じやすく、利用されやすい。そして、彼を利用する田舎の人たちは、ブルース・ダーンを利用することにおそらく罪悪感を持っていないだろう。この構造、トーベ・ヤンソンの『誠実な詐欺師』という小説を連想した。そして、今私自身が、どうしてもそういった構造が存在する世の中において、いかに生きていくかについては悩んでいる。父親を心労から来る病気で亡くしているからなおさら。
 それなので、私にとってはストライクゾーンにまっすぐ球を投げてこられたはずなのに、なぜかそこまで響かなかった。おそらくだけど、今の自分にとってあまりにも近すぎるテーマゆえ、ちょっとでも自分と状況がずれていると楽しめないような、そんな状態に陥っていたのではないかと思う。距離がうまく図れていなかったのだ。ソフト化されたら改めて観て、感想を述べたい。
 できばえは素晴らしかったと思います。キャラクター造形はどれも見事だし、アメリカの鄙びた感じとか素晴らしかった。あのバーでかかっている選曲とかね。