とらわれて夏(ジェイソン・ライトマン) ★★★★
まず、今までのジェイソン・ライトマンのイメージを大きく裏切るような作品であることを述べたい。なんつーか、エロかった。
行為自体をモロに描いている訳じゃないんだけれども、視線の使い方やボディ・タッチ、料理作りという暗喩を駆使して、特に前半、本当にエロいなあと思った。それで、ジェイソン・ライトマンのフィルモグラフィを改めて振り替えってみると、実はすべての作品にセックスが登場する。ただ、どれも皮肉な結果に繋がるので、エロスとは無縁だった。そして、これまでのジェイソン・ライトマンの作風といえば、いわゆる「オトナになりきれない人物」を描くことが多かった。そう考えると、今回のように明確な成長を描くというのは、作家自身の成長なのかもしれない。ジェイソン・ライトマンがこれまでセックスを描きつつも、そこに官能的な意味を乗せなかったのは、やはり作品としての軽さを担保していたからだと思うんです。だから、今回エロさを前に出してきたのは、オトナになるということを自ら体現したのかと邪推します。
ただ、やはり過渡期なのか、前半のエロスに対し、後半のサスペンスとしての引っ張り方はちょっと物足りなさを感じた。それでも、十分いい映画と思いますし、僕はジェイソン・ライトマン監督の成長を祝福したい。次回作も楽しみ。