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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』('15/クリストファー・マッカリー)

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 今年は日本で公開されるスパイ映画が連続している。
 『キングスマン』9月11日公開予定
 『コードネーム U.N.C.L.E.』11月12日公開
 『007 スペクター』12月4日公開
 これでポール・フェイグ監督メリッサ・マッカーシー主演の『Spy(原題)』が10月に公開してくれたら、毎月スパイ映画が見られることになるのだが・・・。
 しかし、スパイ映画とは21世紀に入ってからは決して活発なジャンルじゃなかったはずだが、2010年代以降のこの盛り上がりようは一体なんだろう。確かに『インセプション』('10)、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』('11)とか『カーズ2』('11)のようにスパイ映画の影響を感じさせる映画も製作されていたし、ここ最近は『裏切りのサーカス』('11)や『誰よりも狙われた男』('14)等ジョン・ル・カレ原作のスパイ、というより諜報員映画も立て続けに製作された。
 そして、その中に007シリーズの中でも特筆すべき映画『007 スカイフォール』('12)がある。

 ジェームズ・ボンドという世界で最も著名なスパイに対して、一種メタ的な「時代遅れ」な男として、その出自を描き、さらに再生を描いたこの映画は各方面で高評価を受けた。僕もあの年のランキングでベストに入れている。
 

 そういった流れの中で観たミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』('15/クリストファー・マッカリーの感想は、

た・・・たのしー!!!!


 や、ほんとにこの一言に尽きる。いい映画を見た後って自然と顔がにやけてしまうものなのだと思った。
 僕が映画の感想を書くスタイルは、なるべく大きな矢印を取り出して、それを語る過程で細部についての言及を入れようとしている(成功しているとは言ってない)のだけれども、こういった映画をそのスタイルで語るのって限界が、あるのね。何と言うか、難しいことを語っても面白くならない。ひたすら細部を言及するしかないスタイル。
 それでも「大きな矢印」だけを取り出せば、プロット的に言えば『007 スカイフォール』にも似たところがある。MI6なりIMFなり、一種の豪快な活躍が特権的に認められた組織が時代の流れの中で行き場を失いながらも、再び自らの方法で居場所を奪還する物語。ご丁寧にも映画の後半にはイギリスを舞台にしているし。
 だけれども、それはイーサン・ハントとジェームズ・ボンドの違いなのか、アメリカとイギリスの違いなのか、はたまたトム・クルーズダニエル・クレイグの違いなのか。この物語には悲壮感は漂わない。『スカイフォール』で老いたボンドを演じたクレイグは当時44歳。トム・クルーズは御年53歳。確かに、危機に陥ったり、どことなく息の上がった様子を見ると老いを感じなくもない。だが、この映画のカラーは常に明快だ。
 映画予告でも使われている、離陸する飛行機のドアにトム・クルーズがしがみつく場面。ほぼノースタントで挑んだというだけでも驚嘆に値するのだけれども、後から考えると、このアバンタイトル、そこまで映画本編に絡んで来ないんだよね。つまりは、そこまで映画的に必要のないはずのシーンのために体張ったってこと。すげー、すごすぎる!
 またねえ、このシーンのサイモン・ペグがキュートで、まあ、トム・クルーズの実質的相棒であるはずがドジで、仕事中ゲームやるくらいボンクラで、でもトム・クルーズという世界最高の男の手伝いができるってことがうれしくてたまらないという感じなんだよ。これ、完全に観客目線でしょ。終盤彼がさらわれるところなんか、レベッカファーガソンを差し置いてヒロインでしょという感じだった。
 そう書いたがレベッカの魅力だって負けてない。ある種シリアスな役どころではあるけれどもこの映画にはふさわしい凛とした美貌。敵か味方なのかはっきりしない様子でありながらもhomeを失った寂しさを兼ね備えたヒロインっぷり。しかもかなり動ける。一か所セクシーなシーンがあるが、おそらくは多くの観客が帰ったあとに「Rebecca Ferguson + nude」で検索したんじゃないでしょうか。
 構成としては、中盤まではアクションに次ぐアクションで、特にカーチェイスからバイクチェイスの流れで一度クライマックスを迎えてしまうため、その後の展開が地味に感じられる向きもある。だが、終盤、ロンドンに舞台を映してからの渋さもなかなかいい。涼しげな空気が感じられる撮影に、綺麗にきまった決着。確かに物量的に言えばその放物線上にはないんだけど、ここで「チーム」として締められると、個人的には文句は言えない。
 というか、映画館で大音量でミッション:インポッシブルのテーマを聴くだけで脳内麻薬がドバドバ出るのがわかるんですよ。
スカイフォール』の向こうを張って、まったく別方向の魅力を確立した傑作!夏休みはスパイになろう!


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