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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』('14/ジョン・ファヴロー監督)

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「考えられるだけのいい女」の代名詞として出すのにふさわしい女優、今なら誰になるだろう?
 それは、男子同士でコマーシャルなどでよく見かける日本の女優さんの話をしていたのに、「おまえそれは反則だよ!」てな具合にその人の名前を出したらそこで話が断ち切られてしまうような女優、である。一種の男尊女卑的な言い方になるだろうが、石油王になった時に第一夫人にするような最高のトロフィーとしての女性ということになる。しかも、その話に参加した誰もが知っている程度の知名度があって、かつ全員に納得させられるだけの人でなくてはいけない。
 おそらく、その名前にふさわしいのはスカーレット・ヨハンソンだ。


『シェフ~三ツ星フードトラック始めました』('14)は『アイアンマン』('08)などで知られるジョン・ファヴロー監督が大手の製作システムを外れ、インディーズ体制で作った映画である。一流レストランで働くシェフ・カール(監督のジョン・ファヴロー自身が演じる)が料理を酷評した評論家に対してSNSで応戦したことによりクビになったのちに再起する姿を描く。
 正直なところ、料理がうまそうにとられているなど「映像」としての見せ方はうまいが、映画としての見せ方はうまくない。タイトルにもあるのですでにネタバレにはならないと思うけど、せっかくフードトラックという乗り物を使っているのに、その運動がうまく映画的快感に結びついていないのはもったいない。とはいえ、おそらくは監督自身がそこには興味ないだろうし、それに、映画の性格から言ってそういったことを指摘するのは野暮だ。ただ、軽妙なストーリーとそれに合わせた音楽の良さが印象に残った。


 それで、この映画には主人公の現在の恋人、なのかな、ちょっと微妙な関係の相手としてスカーレット・ヨハンソンが出てくる。最近は癖のある役どころの多い彼女にしては普通の役だったが、なんというか、ものすごくエロい。
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 アメリカ青春映画についての長谷川町蔵山崎まどかの手による名著『ハイスクールU.S.A.―アメリカ学園映画のすべて』('06/国書刊行会)においては「成長するにつれて性格の悪さが顔に出ている」と言われ、町山智浩の言によると「今までインタビューした中で最もインパクトがあった」とのこと(開口一番「くだらないこと訊かないでよね!」と言われたらしい)。
 そして近年のキャリアではマーベル・シネマティック・ユニバースの一連のシリーズにおいてナターシャ・ロマノフを演じ、『LUCY』('14)や『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』('14)等SF要素の強い映画に立て続けに出演したこともあってか、人類規模を越えて強い女性というイメージがついてしまっている。そういったイメージに引きずられたこともあってか、こういった普通の、癖のない女性を演じていると、持っているフェロモンが抑えつけられている分外に出てくるというか、100%以上のエロスを感じた。
 そういえば主人公の元妻の元夫の役としてロバート・ダウニー・Jrが出てくるが、彼の役どころにも同じ効果がある。つまりは、この映画は一度宇宙規模まで飛び出したお話を普通の映画のフォーマットに押し込めることで、充満したエネルギーの予感をイメージさせる映画だったということか!


 ただ、そう考えるとちょっと僕の考えるインディーズ精神とは考え方の違いが出てくるんだよな・・・。