OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

comic

ひぐちアサ『ヤサシイワタシ』(講談社アフタヌーンKC)

再読。なんだろ。大学を卒業して、さらに映画を観るようになってしばらく経ったからか、わかることが増えた気がする。『おおきく振りかぶって』と同作者でありながら壮絶な展開は問題作と言って差し支えないだろう。 この作品は台詞が独特の切り方をしている…

水城せとな「失恋ショコラティエ」

「2次元はアート。アートは人生を彩る大切な花。 でも恋はアートじゃない。人生そのもの。 過酷でドロドロに汚れるものだ。」 恋愛を題材にした作品を読んでいて時々思うことは、 これ結局「偶然」がなきゃうまくいかなかったんじゃない? ということだ。 筆…

新井英樹『宮本から君へ』

※ネタバレ含む 正義が勝つとは限らない。 そもそも何が正義かなんて簡単には定義できない。 Honesty is such a lonely word. 誠実に生きようとすることは自らに制約を課すことだ。 だから、誠実な人は損をする。 制約から解放された自由で我儘な人間には勝て…

田中ユタカ「初夜2」

久しぶりの更新レビューがエロ漫画というのもなんともね。 初体験漫画家として名を馳せる田中ユタカが2001年に発表した短編集です。竹書房から1997年に出た「初夜―ヴァージン・ナイト (竹書房漫画文庫―ドキドキシリーズ)」と話のつながりはないものの、続編…

鬼頭莫宏「ぼくらの」

鬼頭莫宏の「なるたる」に続く作品。 「なるたる」で気になった設定の説明の不明瞭さがコエムシというナレーター役を置くことで改善されている。 そして、おそらくここで作者はもうひとつ改善を狙っていることがあると思う。 それは、物語の勝利だ。 おそら…

鬼頭莫宏「なるたる」

鬼頭莫宏はかなり斬新な考え方を導入したと思う。 それは、命は代替が利くものだ、ということだ。 「なるたる」と同じ雑誌で連載された「寄生獣」は漫画史に残る傑作だと思う。けれども、作者が作中で出した問題に結論が出せているかは疑問だ。最終的に「私…

六道神士「ホーリー・ブラウニー」

「エクセルサーガ」を代表作としてもつ漫画家六道神士の隠れた傑作。中世、現代、未来、「今は昔」の世界など古今東西問わずありとあらゆるところに表れる妖精(神様のパシリ)のフィオとビオラが神様に与えられた仕事を遂行し人間を助くべく奮闘するが、最…

六道神士「エクセル・サーガ」

六道神士がヤングキング誌上にて10年にわたって展開している美少女ギャグマンガ?現在まで18巻刊行。 最近、この作品に異常に嵌っていて、とりあえずコミックは短期間で揃えた。アニメもとりあえずネット上で見れる範囲は見て、レンタルビデオで探しては見た…

日本橋ヨヲコ「少女ファイト」

日本橋ヨヲコが2006年よりイヴニングで連載中のバレー漫画。 名言。 創作を読んでいて、そのときの自分の状態を最もうまく言い表し、これからの指標になってくれるもの。 少々宗教がかった言い回しになるけど、ぼくはこの作品にちょっとだけ救われた。 名言…

久米田康治「さよなら絶望先生」

2005年より週刊少年マガジンで連載中の久米田康治のギャグ漫画。 連載開始当初は読んでて、しばらく読んでなかったのだけれども、最近久々に読んで、面白れえとおもった。 「かってに改蔵」後期と読み比べてみればわかるけれど、エンタメとして十分に面白い…

日本橋ヨヲコ「G戦場ヘヴンズドア」

現在イブニング誌で「少女ファイト」を連載している日本橋ヨヲコの作品。連載作としては3作目。2001年から2003年に掛けて連載。 なんだろ?実家帰ったときに1巻だけ昔買ってあって置いてあって、ふとした拍子に読んで、次の日に近くの本屋行って2巻と3巻買っ…

日本橋ヨヲコ「プラスチック解体高校」

現在「少女ファイト」連載中の日本橋ヨヲコの連載デビュー作。ヤングマガジン連載。余談だが、高2当時の鴨谷はヤングマガジンに嵌っていて、ヤングマガジンが自分の中で漫画のブランド的意味合いを持っていた。 異なる芸術分野の作品同士に、直接的な関連性…

永野のりこ「電波オデッセイ」

ARTIFACT@ハテナ系 - 忘れ去られる永野のりこ氏 http://d.hatena.ne.jp/kanose/20070130/nagano 上記の記事にあるとおり、今「メガネ男子」がブームって言われていても数年前まで「メガネ」といえば代名詞だった永野のりこの居場所はすでにないのね。 ナガノ…

若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」

ジェッツコミックを新刊で買うのなんて「愛人[AI-REN]」最終巻以来だ。 今話題になっているこの漫画。 内容は、インディーズシーンで人気のデスメタルバンド・デトロイト・メタル・シティ(以下DMC)、そのボーカル兼ギターのクラウザー?世、その素顔はオシ…

吉本蜂矢「うさうさにゃんにゃん」

寡作の天才ギャグ漫画家、吉本蜂矢の漫画。1996年(今から10年前!)にヤングキング誌に連載され、それから5年の月日を経て2001年にようやく単行本化されたという、伝説的な出自を持つ作品。 それにしてもすごいタイトルだ。ぼくが作家なら、代表作「うさう…

ジョージ朝倉「バラが咲いた」

ジョージ朝倉の初期短編集。1995〜1996年ごろの作品群。 ジョージ朝倉の短編といえば、ほんのりと余韻を残すのが持ち味なんだけれども、それはデビュー作の頃からあったんだなと認識できる作品。コレクターズアイテムじゃなくて幅広く読まれてほしい作品。 …

じゅきあきら「海の大陸NOA」

コミックボンボンに1996年〜1997年にかけて連載されていたギャグマンガ。 ストーリーは、想像するだけで神経性胃炎になるくらい未来の話で、地球は天変地異によりひとつの孤島・サンルクスを残すのみ、人類は天空都市へと移住しており、サンルクスでは生物実…

山田玲司「絶望に効くクスリ」

※レビュー予定

華倫変「カリクラ」

※レビュー予定

永野のりこ「電波オデッセイ」

※レビュー予定

木尾士目「五年生」

「四年生」の続編。「四年生」で描けなかったテーマを改めて描いている。というより、「四年生」がせいぜい主役の二人だけで構成された劇なら、こちらは劇団員を増やした本格的な演劇といったところか。個人的には、主役の二人が互いのうそを暗に責め合いそ…

木尾士目「四年生」

木尾士目の漫画。この漫画に関しては粗筋がはてなキーワードから除けるので一読を。 大学生のうちにダメ大学生漫画を読んでおこうと思った。この漫画を一言でいえば「痛々しい」。どうしても「ヤサシイワタシ」との比較になっちゃいそうだけど、無論「ヤサシ…

丸尾末広「パラノイア・スター」

丸尾末広さんの短編集。初版は1986年1月31日。 丸尾末広さんの作品の中では最も普通、というかそれでも十分常軌を逸しているのだけれど。 解説で高橋睦郎さんが書いていらっしゃったのだけれど、この作品がほかの作品と違うところが、シリアスさだと思います…

丸尾末広「DDT−僕、耳なし芳一です」

丸尾末広さんの短編集。初版は1983年11月25日らしい。 これはテーマとして「眼球を舐める」というのがあるらしくて、そのようなシーンが頻出します。内容は、丸尾末広の真髄ともいえるエログロ。あと、微妙に戦時中の学校の中の暗さのようなものが出ているの…

丸尾末広「少女椿」

丸尾末広さんの漫画で、一応連載作なんだろうか。初出版は青林堂で、1984年9月25日。 舞台は見世物小屋で、少女みどりちゃんがひどい目に会うって、ストーリーだけ聞いたら(ってかストーリーも無いに等しいのだけれど)ロリコンエロ漫画と変わらないです。…

岡崎京子「リバーズエッジ」

とりあえず、どうしても2月に取り上げたかった作品です。岡崎京子がその文学性と同時代性を発揮した作品で、初出は「CUTIE COMIC」という、現在は廃刊してしまった雑誌で1993年3月号〜1994年4月号で連載していたもの。この「CUTIE」って雑誌、吉川ひなのがCM…

ジョージ朝倉「恋文日和」

ジョージ朝倉さんの連作短編集。映画化もされているけど・・・。 世の中には「短編の名手」と呼ばれている人がたくさんいます。たとえば、藤子・F・不二雄さんだったり萩尾望都さんだったり、小説で言えば星新一さんや筒井康孝さんもそうですね。短編というのは…

大島弓子「いちご物語」

少女漫画です。それも1970年代の少女漫画隆盛期に出版されたので、それはもう筋金入りの。ですので、少女漫画になれていない方にはきついかもしれません。実際僕も、花がたくさん出てくるこの時期の絵は少し読みづらいものがあると思います。 これは去年の大…

遠藤浩輝「遠藤浩輝短編集」

遠藤浩輝が1998年に出版した短編集。全部で3篇収録。アフタヌーン掲載。続編が2002年に刊行されている。絵は写実的で、デコボコした感じ。 「カラスと少女とヤクザ」はまるで北野武の映画のような、乾いた世界観に暴力の要素が詰め込まれた、残酷なんだけど…

原律子「改訂版大日本帝国漫画」

女流エッチ漫画家とされた原律子さんが1985年に出した短編集。ってかギャグマンガだから短編集ぢゃないね。 原律子さんの魅力は、微妙な大正浪漫的な雰囲気の引用だと思います。内容はあけすけもないエロネタなんだけど、絵はかわいいし、登場する女性の傾向…