加藤伸吉「バカとゴッホ」
モーニングの増刊誌で連載されていた「バカとゴッホ」という作品と、数本の短編を収めた加藤伸吉の作品集。
とにかく、「バカとゴッホ」を読んでほしい。力強い線で描かれた本作は、確かに好き嫌いは分かれるだろうけどある種の人にはこの上ない力を持って訴えかけるのだから。松本大洋の系譜にはあるのだけれど、それを基盤にしてどこか「がさつなセンチメンタル」を表現した絵だと思う。
確かに、いろいろと甘いところはあるけど、表現というものを一度でも考えたことのある人間には共感するところも多い作品ではないかな。この作品を映像化するなら堺役はトータス松本にやってほしい。音楽も、ウルフルズがいい。
あと、全体的に夜の印象がある。7時から11時くらいの夜の印象。その時間の、どこか昭和のにおいの残る下町・裏通りという印象もある。
短編だと、この人は本当にいい話を描く作家だと思います。友情をテーマにした「イサムダイアリー」、海賊ラジオから生まれるめぐり合いをテーマにした「My MHz」、子供のころの夢をテーマにした「L & P」、ホラーの「夜ゲラ」と前三者は、読み終わったあとに優しい気持ちになれます。
- 作者: 加藤伸吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/09/20
- メディア: コミック
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