OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

村上春樹「海辺のカフカ」

 3月の帰郷の際に飛行機の中で読んで、それっきりほっぽり出していたからGWの滞在中には読んでしまおうと思っていた本です。村上春樹が2002年に発表した長編小説。
 別に熱心なファンでもなく、文庫になってやっと読むようなファンなんだけれども、村上春樹を読むたびに思うのは、この人の本を読む人ってどういう気持ちなんだろうかということ。村上春樹文体はすごくフランクで、難解なことでもティータイムに語ってくれているような爽快感がある。けど、少し難解なのは事実なんだよね。僕は「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読んだあと考えが頭の中で消化し切れなくて変な夢を見たくらいだから。だからこれがベストセラーになるのは少し不思議だ。村上春樹の小説は思想をもとに構築された一種のミステリーだと思う。椎名林檎の「勝訴ストリップ」がミリオンいったのと同じくらい、一般受けしないような気がするから、やはり不思議だ。もしかすると僕がすべてを理解しようと努めるから難解に見えるだけかもしれないけど。
 考えは、やっぱりまとまってはいないけれど、全体的に見てこれはファンタジー小説だと思います。また、最初は田村カフカにはまるでパンクのような青臭さがあるなと思いました。個人的に印象に残っているシーンが、大島さんが図書館に来たフェミニズム団体を追い返すシーンで、こことか、これは二つの話が並列して進んでいて、そこでの主人公となるナカタさんのお供をする星野青年が最後にはいろいろなことに思想を巡らせるようになるくだりから、この小説のテーマは「自分の思想を持て」ということだと思った。峯田和伸がインタビューで言っていた「本当に怖いのは何も感じられなくなる心だ」という言葉が頭をよぎった。たぶん、これからの生活の場面でこの小説の一片が頭をよぎることになるのだろうと思う。
 余談だけれど、この話に所々に出てきて田村カフカの手助けをするさくらってむちゃくちゃかわいくないですか?なんか、話し方とかむっちゃ好みなんですけど。

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)