OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

R. Kelly「chocollat factory」

 R&BシンガーのR.ケリーが2003年に発表したアルバム。俺が初めて聞いたソウル/R&B作品かもしれない。ラップの要素なども取り入れた曲もあるのだが、70年代ソウルに影響を受けた作品が中心で(偉そうに書いてますがライナーで読んでマーヴィン・ゲイを後追いで聴いてから書いてます)、全体を通して「愛のアルバム」という印象を置けた。
 R.ケリーのボーカルは、とにかく艶を感じさせる印象があり、曲のせいもあるけど(「snake」なんてモロだし)とにかく性を感じさせる声だと思う。フェイクの聞かせ方とか、サビでのアクセントのつけ方が巧い。コーラスの使い方も、掛け合いが一種の天国のような世界観を作り出している。バックの演奏も、柔らかい音が中心で溶けるような感じだ。
 俺は、この声を聴くたびにたぶん一生この声には届かないなという印象を受ける。それは、もちろん技術的な面もあるのだが、甘いのに切なさを感じさせるケリーの声は、ケリーの生き方などを表すような声だと思うからだ。性的なスキャンダルに巻き込まれることが多いケリーだが、このアルバムは多幸感に包まれていて、聴いていて幸せな気持ちになれるくらいやさしい。だけど、ケリーの声はどこか孤独を隠し持っているような気がする。下世話な話になるが、ケリーという男はリリックやスキャンダルなどから、百戦錬磨な印象を受ける。その上で、体が満たされていても心が満たされないという思いが、一聴するとエロを前面に出したような曲からでも伝わってくる。なんだか、水曜の夜当たりに都会で聴くと孤独を映し出すような、そんな作品だと思います。

チョコレート・ファクトリー

チョコレート・ファクトリー