OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

the pillows「LITTLE BUSTERS」

 ピロウズが1998年にリリースしたアルバム。ピロウズで一番聴いたアルバムはこれだろうなと思う。受験期のころよく聞いてた。
 一曲目から歪んだギターで遊び心が満載だし、2曲目のシングルにもなった「アナザーモーニング」はさわお君の優しい歌声で「扉の向こうには約束なんてない でも行こう 生まれ変わる朝が来た」なんて歌われたら持ってかれるしかないでしょ。3曲目の「ONE LIFE」は美しいギターのイントロが印象的なんだけど、どっか絶望を湛えていて、それでも立っている感じがして、辛い心境のときにはよく聴いていました。「ねじれた鎧を脱いで旅に出たカタツムリ 雨にそっと身を打たれて震えるけど もう戻らないぜ」。4曲目の「like a lovesong」はノリノリだし、5曲目の「THAT HOUSE」のリリカルな感じ、5曲目「NOWHERE」の轟音ギターで深海をさまようような感じのながれはすごい。7曲目は、ピロウズアンセムのひとつ「ハイブリッドレインボウ」。さびで声を張り上げるさわお君の姿には心打たれます。個人的には二番のさびの「ここは途中なんだって信じたい」のところでファルセットになるところが最高潮。8曲目は「Blues drive monster」。今で言うところの引きこもりの世界に対する反抗の歌詞なんだけど、なんだかこのビートロックに乗って歌われると不思議と説得力がある。9曲目の「PATRICIA」は少し変わった彼女と過ごす幸せな日常の歌。撥ねたギターがすき。10曲目の「Black sheep」はとにかく暗い歌詞。アコースティックギターメインで歌われるこの歌は、自分が変わっているばかりに弾き飛ばされた社会に対する反抗と、自嘲が含まれていて聞いた後プラスにせよマイナスにせよ何かが残る曲です。Weezerの「Butterfly」という曲に近いかもしれない。ラストの「LITTLE BUSTERS」はライブで盛り上がるナンバー。
 このアルバムが、一番世の中に受け入れられやすいような気がする、つまり、表層的には一番ポップだと思うんだけど、その中に含まれているどろどろした感情という点ではかなり濃度の高いアルバムでもあると思う。このアルバムを聴いたとき、なぜだか終末観がしたんだよね。それは「ストレンジカメレオン」を聴いたときにも感じたけれど、「Please Mr. Lostman」では最後の曲は明日へと歩を進めようという気がする。だがこのアルバムのシークレットトラックのラストのくぐもった鐘の音を聴いていると、本当の終わりという気がする。ある意味、臨界点だったのだろう。けど、ピロウズは今も活躍を続けてくれています。

LITTLE BUSTERS

LITTLE BUSTERS