OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

 Syrup16g「Mouthto Mouth」

 シロップが2004年にリリースした、5枚目(になるのかな?)のアルバム。当時は歌詞が変化したといわれて久しかった気がする。確かに、「リアル」の「本気なのはカッコ悪いことじゃねえ むしろその逆」なんて物言いは、「必死だな」と嘲笑する文化に対する物言いな感じはするし、一見ポジティブに見える。けど、全体を通してはやっぱり暗くて、後ろ向きな言葉は多いし、五十嵐君の声も陰があるし、楽器の音もどっか暗い。ハードなエッジのギターもメロウなフレーズを弾くギターもどっかくぐもって聞こえる。
 俺ねえ、やっとわかった気がするけどシロップの表現に一番近いものってブログなんじゃないんだろうか?とにかく感情の吐露をせずにいられなくて、それを芸術的な形にする前に発表してしまおうとする方法論が似ている気がする。「ハミングバード」の歌詞なんてそのままブログの文章でありそうじゃない?結果的に完全に前向きなメッセージを聞くことはここではできないし、書いてるやつはニート直前ってくらいどうしようもないやつだし、その表現力ゆえに呼んでて気が重くなることもあるけれど、なぜか毎日見てしまう、そんなブログ。ラストの「Your eyes closed」はシロップ版「all apologizes」*1って思ってしまう。美しい曲です。
 もちろん音楽的なところでも面白くて、「パープルムカデ」はこのアルバムの音楽面で一番特徴的なガレージ的なものを特に強調している感じがして、なぜか新しさを感じるし、この曲をシロップ初のシングルとして切ったのもわかる気がする。ベースも全体を通してうねりまくってて良い。この後シロップからベーシストが抜けたのはショックだった。Polarisもそうだが、今までの曲が再現不可になりそうな気がする。

Mouth To Mouse

Mouth To Mouse

*1:Nirvanaの「IN UETERO」のラスト曲