フラワーカンパニーズ「吐きたくなるほど愛されたい」
もう一枚。どうしても今聞きたくなったアルバム。メジャー時代の初期みたいな音のスカスカ感はもうなくて、ハードロックだし、フォークだしで、かなり充実した内容。全体としてのまとまりはないけど、その分ギリギリの状態が見えて、人間の叫びとして信頼に足るアルバム。
これの「人間の爆発」の中にある「本当はやりたいことなんて何もなかったんじゃないのか」っていう一文がずっと頭の中をぐるぐる回ってる。銀杏BOYZにもこれに影響を受けたのか「やりたいことなんかないぜ」っていう歌詞があるけど。
これは、「やりたいことが必要だ それがないやつは社会的に無意味だ」っていう社会へのアンチテーゼだろう。別にやりたいことがない人間なんていない。医者だの、大手会社の社員になりたいっていうのも夢としての欲望だし、ナンバーガールのアルバム買いたい、一日中寝ていたい、おいしいもの食べたい、セックスしたい、ってのも全部欲望じゃん。けどこの世界はそういった夢≒欲望もどっかランク付けして、これは社会に有益だ、これは違う、なんて決め付けているわけ。そういったものにうまく乗れる人はいいけど、乗れない人はどうすればいいの。
フラカンは、そういった乗れない人の背中を押して肯定してくれるから好きだ。「少年」の優しいメロディを歌いながらも、明らかにギリギリな声をしている鈴木圭介さんが好きだ。「夢から醒めないうちに」で、「自信がないならないでいいんだ」って言ってくれて、「もう少しだ ほんの少しだ あと少しだ」って背中を押してくれるグレートマエカワさんが好きだ。遠くにいる人を思う「遠い空」の寂しい歌詞が好きだ。
- アーティスト: フラワーカンパニーズ,鈴木圭介,グレートマエカワ
- 出版社/メーカー: Trash Records
- 発売日: 2002/07/31
- メディア: CD
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