OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

スガシカオ「FAMILY」(1998)

 シカオは1997年秋に出したシングル「愛について」から帽子を取り、この曲のプロモで何もつけてない顔を見せている。結構男前だ。次のシングル「ストーリー」からはまたサングラスをかけて素顔を隠しちゃうんだけど(「FAMILY」のジャケットでも手で顔を覆っているし)。そういった意味で、「愛について」はスガシカオの素顔(駄洒落みたいだ)が垣間見える曲といえるのかも。
「愛について」はそれまでのシカオのイメージからはガラっと変わったラブバラード。いや、これ以上のラブバラードはちょっと見当たらないかも。キーボードの音が映えるアレンジはプロモとの効果も相まって冬を連想させるし、少しかすれ気味の声は琴線に触れる。この声で「夜が来てあったかいスープを飲もう」の歌詞は反則だろ。歌詞も最高。本当にまっすぐなラブソングで、世界から爪弾き出された二人なんてシチュエーションを連想してしまう。
 この時期、シカオは露出も増えていて、その後SMAPに「夜空ノムコウ」の歌詞を提供したことでその名を一躍全国に知られることとなった。ラジオのレギュラーも週6本を数え、雑誌連載も盛んに行っていた。
 そんな状況下の1998年6月にリリースされたセカンドアルバムは、歌詞としてはまるで奇をてらったような奇抜な歌詞が増えていて、シカオのパンク性が一番見られるのはこのアルバムで、次が「SWEET」、「4 FLUSHER」以降は「CLOVER」で述べたところの後者の「大人」の音楽に移行している。
 個人的には陽水イズムが最も見られる「このところ ちょっと」や、「ひとりごと」の「“ぼくはいつでもそばにいるよ” おざなりのことをいっている “明日からぼくはちゃんとするよ” 何ひとつできやしないのに」と、あらわになったダメダメさが歌詞の面では好きかも。
 ただ、シングル曲以外は薄い印象がしたのも事実。
 シカオっていうのはあまりロック史に残る名盤を作るよりもいい曲をじっくり作っていって、スガシカオ自体がジャンルになるっていうあり方のほうが似合う。それは山崎まさよしGRAPEVINEにもいえることだけど。

FAMILY

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