OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

古畑任三郎FINAL

 古畑任三郎がついに完結いたしました。私としては、ラストのメインテーマの被せ方には鳥肌が立ちました。
 じゃあ、ちょっと各作品について語ってみたいのですが、一応、ミステリーの鉄則としてトリックの内容に触れてはならないというのがあるので、それはなるべく守りたいと思います。
第1夜「今、蘇る死」
 脚本:三谷幸喜 演出:河野圭太 出演:田村正和石坂浩二藤原竜也、西村雅彦、石井正則小林隆
 冒頭からいつもの古畑とは違う雰囲気です。ある種のまがまがしさを含む村に古畑が乗りこんでいき、事件を解決するという、推理小説ではおなじみの手法で、けど古畑ではあまり使われなかった手法です。
 最高の出来でした。古畑というのは常に犯人の目線から描かれ、思わず犯人を応援しながら見る背徳感と合いまった緊張感を楽しむのが作法だと思うんですけど、それを逆手にとった手法は斬新でした。ラストの30分が最高です。
★★★★★★★★★☆
第2夜「フェアな殺人者」
 脚本:三谷幸喜 演出:河野圭太 出演:田村正和イチロー、西村雅彦、石井正則小林隆
 イチローがドラマ初出演ということで話題になった作品ですが、1夜目にくらべると、うーん、といった感じです。少しイチローのイメージを守るような感じになっていて、それが全体を通して犯人像に違和感が・・・。前述の作法で行けば、犯人に感情移入が出来なかったです。動機も弱かった感があります。ただ、犯人との関係性をすべて抹消したと思われたイチローのもとに古畑がたどりつく過程は面白かったです。
★★★☆☆☆☆☆☆☆
第3夜「ラスト・ダンス」
 脚本:三谷幸喜 演習t:河野圭太 出演:田村正和松嶋菜々子、西村雅彦、石井正則小日向文世松金よね子
 最終話はすこしラブ・ロマンスを重ねた感じ。予告を見たときに、古畑シリーズは秋のような終わり方をするのかなって思ったんですよ。四季の中で秋って最も色鮮やかな季節で、けどその先にまっているのは最も色のない季節である冬で、冬になる直前に華々しさを持って終わるような、そんな感じです。これは間違ってなかったです。冒頭で述べたとおり、古畑の犯人の中で最も悲しい犯人というのは事実だと思います。ファンとしてはシリーズとおしての第一話が出てきたのもうれしかったです。第一話の犯人の小早川ちえみって、非公式のファンブックでは古畑が淡い恋心を抱いてたのではないかといわれていて、そういったものを持ってくるのもよかったです。
 ただ、出来としてはこの作品もいまいち犯人に感情移入が出来なかったのと、ミステリーとしてはあまり使ってほしくないトリックを使っていたのがマイナスです。あと、私個人があまり松嶋菜々子の演技が好きではなくて(なんか、全体を通して浮いている感じがして。高慢ちきな悪女とか演じさせたらうまい人なんでしょうが、個人的には苦手です)、これは仕方ないですね。
★★★★★☆☆☆☆☆