西尾維新「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言使い」
「京都の20歳」西尾維新の鮮烈なるデビュー作。一応範疇ではミステリーということになるのでしょうか。
とりあえず、この作品の魅力は登場人物同士の哲学的な会話、および主人公「いーちゃん」の、哲学的で、ちょっと自嘲的なモノローグにあると思います。モラトリアムですね。
ミステリーとしては、ちょっとトリックに無理がありすぎる気がします。このトリックの無理については文中でも触れられていて、それなりに論理的に無理性を正されていますが、やっぱり無理がある気がするー。まあ、あまりミステリーとして読むものではないのかもしれませんね。
天才のみが集められた島というのも、ミステリーの設定としては新しいですし、最後まで謎が残る感も新しいです。ただ、ミステリーの性格って現時点で自明として存在する法則をもとに証明するという、理系と文系の双方の分析力を用いるゲーム的なところもあると思うんで、本体のトリックはともかく、占い師の方の読心術の謎が明かされなかったところ、イリアの本当の目的が不明瞭なところ、その辺が明かされないのが残念でした。それとも、そんなことをいえば天才の方々は笑うのでしょうか?
一言でいえば、少しぶっ飛びすぎていて世界観に入り込めなかった印象です。ただ、哲学的な会話は結構好きだったりするんですけどね。
58/100
クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)
- 作者: 西尾維新,take
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/02/07
- メディア: 新書
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