OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

丸尾末広「パラノイア・スター」

 丸尾末広さんの短編集。初版は1986年1月31日。
 丸尾末広さんの作品の中では最も普通、というかそれでも十分常軌を逸しているのだけれど。
 解説で高橋睦郎さんが書いていらっしゃったのだけれど、この作品がほかの作品と違うところが、シリアスさだと思います。「少女椿」も「DDT」も、状況は明らかに異質なのにどこかでギャグマンガっぽさを感じられるというか、それゆえに感じさせる座りの悪さを感じさせたのに、この作品はあくまでシリアスに、文学的に徹している気がします。だから、比較的初心者にも大丈夫かもしれないです。僕も初めて読んだのがこれですし。
 それと、「日本人の惑星」あたりで感じさせるのが、この人、軍事マニアなんですかね。いや、軍事マニアという言い方はおかしいのかもしれないけれど、なんだか独自の戦争感、あるいは第二次世界大戦に関する従来とは異なった解釈を持った人という気がします。ナチスを肯定している感もあるし(この辺は解釈の違いの可能性もあります)。
73/100