OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ガガガSP「オラぁいちぬけた」

 ガガガSPの2ndアルバム。2003年発表。
 コザック前田こそ一番知的なロッカーだと思う。このアルバムが発売されたころ、雑誌のインタビューでこのようなことを答えていた。フォークソングを思わせる字余りの歌は一見歌詞が先に見えるが実は曲を先に作っているということ。実はスウェッディッシュポップなどが好きだが、自分の顔を見て「この顔でポップはないやろ」と思いパンクをやっているということ。
 この発言を聞いたとき、コザック前田は信用できるなと思った。パンクとは労働者の叫びなんかじゃなく、インテリの屁理屈だということを証明してくれたから。
 実際に、このアルバムに収録されている曲はフォークもそうだがどこかニューミュージックからの影響も感じる。M1の名曲「国道2号線」のイントロは「赤いスイートピー」のイントロを連想させる。「家路」なんかもニューミュージックっぽいし、「一人ぼっちの世界」での親を思う気持ちなんて、まずパンクが取り扱う題材にはならないだろう。
 だけど、こういった、どこにもない音楽をやること。ひとつひとつはニューミュージックやフォークやハードコアなど、さまざまなジャンルに見られるけど、それらを組み合わせて、コザック前田があのだみ声で血管千切れんばかりに歌えば、それは新しいジャンルになる。これだけの努力を怠っているバンドのなんと多いことか。
 「オラぁいちぬけた」や「ハードコア組曲」に見られる諧謔精神も、別に広域に対する異議申し立てってほどでもなく、ひとつ間違えればコップの中の嵐にもなりえること。けど、小さい範囲の人にしか伝えられないからこそそのメッセージ性が生きるのだと思う。
 「国道2号線」「津山の夜」「一人ぼっちの世界」「家路」など本当に名曲だ。
77/100

オラぁいちぬけた

オラぁいちぬけた