OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

スピッツ「フェイクファー」

 スピッツの8枚目のアルバム。1998年発表。
 リリース時期もあるだろうけど、全体的に白や薄い橙のイメージがあって、スピッツのシーズンとも言える春の空気を表現しています。メロディもスピッツの全キャリア中一番穏やかな気がする。ロックよりもポップよりかな。
 もちろん「ウイリー」みたいなハードロックナンバーとか、5拍子の「ただ春を待つ」みたいな変則的なナンバーもある(シングル曲「運命の人」もアルバムバージョンではキーボードを多用したちょっとサイケデリックなナンバーに)のだけれど、基本としてはアコースティックをメインとしたメロディと声主役のナンバーです。
「冷たい頬」は歌詞から推測されるに、幸せな場面の中にふと感じる不安みたいなものを表現したナンバーだと思う。「それがすべてで何もないこと」なんて歌詞を幸せな情景を描くために使えるのがスピッツのすごいところだ。
「楓」は超名曲だけど、あからさまな失恋ソングが少ないスピッツからみると逆に異質かなという気もする。アレンジもニューミュージック的だし。ラストに位置した「謝々!」はホーンを使った、ちょっとオザケンっぽいアレンジだけど、「〜です」で締められる歌詞で旅立ちをポジティブに歌っているのが最高。
 タイトル曲の「フェイクファー」は派手目のないメロディだけど、ずっと噛み締めて歌っていたくなるようなナンバー。春の海の新しい生命が生まれる感じを連想させます。後にでたコンピレーションアルバム「色色衣」に一番感じが似ているのってこのアルバムです。
81/100

フェイクファー

フェイクファー