OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

Echo & The Bunnymen「HEAVEN UP HERE」

 イギリスのニューウェーブ(と一時は区分されていた)ロックバンド、エコー&ザ・バニーメンの2ndアルバム。1981年リリース。
 エコバニといえば、イアン・マカロックの耽美的なボーカル、ウィル・サージェントの子気味いいカッティングのギター、そして、うなるベース、が特徴だ。
 このアルバムでは、たとえば「Over The Wall」ではギターの「ダ・ダン・ダーン」っていう上昇音階がもはやサビのようになっていて、永久凍土の下から浮上してくるような気持ちよさがある。他にも「イット・ワズ・ア・プレジャー」でも休符をうまく使ったリフが見られる。ベースのほうも負けてはいない。一曲目からベースがとにかくうねうねと動いていて、それがこのアルバムの、いや、このバンドの世界観を若干暗めに設定している感はあるけど、けどまるで南極の氷の下を泳いでいるペンギンの映像を観ているような気持ちよさは一回体験したら代返が聞かない。「ディザーズ」のホラー映画のインストみたいな感じとかね(短い曲だが、ダカダカダンっていう感じが最高)。
 そして、エコバニの世界観を代表しているのがロック界1のナルシスト、イアン・マカロックのボーカルでしょう。けっしてうまいわけじゃないし、後響き、しゃくり、ビブラートなど、好き嫌いが分かれる要素の強い彼のボーカルはどんなにきれいなメロディでも暗めに聞こえてしまうっていう側面もある。これを受け付けない人も多いだろう。ビジュアル系のバンドなんかにイアンの影響を受けたボーカルは時折見られるけど、基本的にイアンのようなボーカリストは他に見当たらない。広義に捕らえればモリッシーがそうかもしれない。
 今回たとえでペンギンだの永久凍土だのよくわからない表現ばかりつかったけど、エコバニの音楽と言うのは、どこか自然を感じさせる。ヨーロッパの寒さと雨の中で育った自然を。また、エコバニの暗さと言うのは決して夜ではなく、夜明けの直前と言う気もする。
 エコバニみたいなバンドっていうのが2006年の音楽シーンに見当たらなくて、それどころか微妙に評価されてない気もするのが多少不服ではある。スピッツラルクの曲にエコバニからの影響を感じさせるのはあったけど。
74/100

Heaven Up Here

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